21ものそみー21モノソミーMonosomy 21
小児慢性疾患分類
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[Orpha番号:ORPHA574]
21モノソミー(monosomy 21)は、21番染色体長腕の様々な部位の欠失を特徴とする染色体異常であり、その欠失によって先天異常、発達遅滞、および知的障害を来す。
病気・治療解説
疫学
21モノソミーは極めてまれであり、論文報告例は50例に満たない。21フルトリソミーはおそらく出生に至らない。
臨床像
表現型の重症度は欠失領域の部位と大きさによる。一般的には、近位部あるいは遠位部では軽度の表現型であるのに対して(例、形態異常や先天奇形には乏しく、軽度から中等度の知的障害)、21q22バンドを含む欠失はより重症な表現型を呈する。後者では、最も頻度の高い臨床症状として、出生前および出生後の成長障害、小頭症、突出した後頭部、顔面の形態異常(斜上あるいは斜下である短い眼瞼裂、幅広い鼻を伴う目立つ鼻稜、大きな耳介)がみられる。多発奇形として、脳の構造異常(例、大脳萎縮、皮質異形成、脳梁形成不全)や心疾患(例、動脈管開存、中隔欠損)もしばしばみられる。知的障害は重度のことが多い。関節は硬く、異常な姿勢をとることがある。筋緊張異常、呼吸器感染、痙攣も多い。特殊な血液疾患(例、血小板減少、骨髄異形成)の報告がある。
病因
本疾患は21番染色体長腕の様々な部位の欠失による。21q部分欠失は中間部と端部がある。新生突然変異として生じる場合と親の構造異常由来の場合とがある。親の構造異常からの異常分離によるモノソミーでは、別の不均衡も伴うことが通常であり、表現型は複雑となりうる。21番環状染色体の形成が原因の症例もある。
診断方法
診断は臨床所見から染色体検査が考慮されることによる。その大きさによるが、21q部分欠失は従来法か分子遺伝学的技術による核型分析によって診断される。欠失の遺伝学的な精査には分子遺伝学的技術が必要である。
出生前診断
21q欠失の出生前診断は、羊水穿刺か絨毛採取による細胞遺伝学的分析で可能である。
遺伝カウンセリング
片親に染色体構造異常がある場合には次子での再発率が高まる。
管理および治療
管理は多職種の連携でなされ、小児総合診療医と関連専門職による評価や治療を必要とする。早期の評価と主要な発達支援への連携が有益である。理学療法は筋緊張と関節弛緩の両方の改善に重要と考えられる。
予後
予後は欠失の大きさと部位による。21q22バンドが含まれている場合には重症であり、生命予後は合併する先天奇形の重症度に依存する。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Dr Catherine TURLEAU
日本語翻訳版の監訳
大橋 博文(難治性疾患政策研究班「染色体微細欠失重複症候群の包括的診療体制の構築」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/21monosomi_JP_ja_PRO_ORPHA574.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=574
最終更新日:2012年1月
翻訳日:2019年3月
本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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