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こうしんちょう-ちてきしょうがい-じんいじょうしょうこうぐん
高身長-知的障害-腎異常症候群Tall stature-intellectual disability-renal anomalies syndrome

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA500095]

複数の先天異常を伴うまれな過成長症候群で、高身長、大きな手足と大きな母指および母趾、幅広い指尖、発達遅滞、ならびに顔面形成異常を特徴とする。

病気・治療解説

疫学

現在までに文献で2家系の4症例が報告されているのみである。

臨床像

この過成長症は、高身長、大きな手足と大きな母指および母趾を特徴とする。顔面の特徴として、丸顔、眼間乖離を伴うくぼんだ眼、内眼角贅皮、平坦な顔面中部、長い眼瞼裂と眼瞼裂斜下、突出した大きな耳、厚い唇、巨舌などがある。患者は発達遅滞を呈する。知能面では、学習困難を伴うが正常な例から、知的障害のある例まである。多様な先天異常が報告されており、眼の異常(網膜コロボーマまたは屈折異常)、心臓の異常(心室中隔欠損、僧帽弁逸脱、右室二腔症)、腎臓の奇形(左側の二分尿管を伴う腎回転異常、腎腫大、多嚢胞性異形成腎)、結合組織疾患(鼠径ヘルニア)、整形外科的所見(内反足、大腿骨および脛骨の内旋、O脚、潜在性二分脊椎)などがある。その他の特徴として、早期発症の静脈瘤、一過性または慢性の良性好中球減少症(骨髄検査の結果は正常)、感音性難聴、ウィルムス腫瘍(1症例)などもみられることがある。

病因

FIBP(11q13.1)遺伝子の両アレル性の機能喪失型変異がこの表現型の原因である。

診断方法

診断には次世代シーケンシング(エクソーム、ゲノム、または発達障害用パネル)が用いられる。

鑑別診断

鑑別診断としては、その他の過成長症があり、具体的にはベックウィズ-ヴィーデマン症候群またはシンプソン-ゴラビ-ベーメル症候群に、高身長、腎腫大、巨舌、ウィルムス腫瘍易罹患性を合併した場合などである。

出生前診断

罹患した子供をもつ両親には出生前診断を提案することができる。

遺伝カウンセリング

遺伝形式は常染色体潜性(劣性)である。リスクのあるカップル(両者共に病的変異の保因者)には遺伝カウンセリングを提供すべきであり、罹患した子供が生まれるリスクは妊娠毎に25%であることを伝える。

管理および治療

管理は集学的に行い、具体的な内容は個々の臨床像に依存するが、その中には眼科、循環器科、血液内科、整形外科での評価およびフォローアップが含まれる。学習障害に対する社会的なケアの要件を評価すべきである。精神症状も評価すべきである(特に成人期)。聴覚の評価が必要であり、補聴器を処方することもある。鼠径ヘルニアや早期発症の静脈瘤には手術が推奨される場合がある。ウィルムス腫瘍に対しては、診断時から8歳まで3カ月ごとに腎臓超音波検査によるフォローアップが推奨される。

予後

1家系において死産および流産の頻度が高いことから、本疾患の致死性が疑われている。ウィルムス腫瘍の易罹患性が疑われている。好中球減少症は、感染症の反復を伴わないようである。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Pr Laurence OLIVIER-FAIVRE

日本語翻訳版の監訳
松原 洋一(IRUD臨床専門分科会 小児科(一般)チーフ/国立成育医療研究センター 理事)

日本語版URL
http://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Tall_stature-intellectual-disa-renal_anomalies_JP_ja_PRO_ORPHA500095.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=en&Expert=500095

最終更新日:2020年10月
翻訳日:2023年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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