しゅうきせいはつねつ-あふたせいこうないえん-いんとうえん-けいぶりんぱせつえんしょうこうぐん周期性発熱-アフタ性口内炎-咽頭炎-頸部リンパ節炎症候群PFAPA syndrome
小児慢性疾患分類
- 疾患群-
- -
- 大分類-
- -
- 細分類-
- -
[Orpha番号:ORPHA42642]
周期性発熱-アフタ性口内炎-咽頭炎-頸部リンパ節炎症候群(periodic fever-aphthous stomatitis-pharyngitis-adenopathy syndrome, PFAPA syndrome)は、アフタ性口内炎、咽頭炎、および頸部リンパ節炎を伴う反復性の発熱を特徴とする自己炎症性症候群である。
病気・治療解説
疫学
PFAPAの有病率は不明であるが、500例以上が報告されており、患者は主に男性(>60%)である。
臨床像
PFAPAは通常、小児期早期(5歳未満)に、反復性の3~7日続く発熱発作(>39℃)を伴って発生し、発作中小児の状態は非常に悪く見える。アフタ性口内炎は、比較的痛みの少ない小さな、丸い、浅い病変が舌および口腔内粘膜に生じる(症例の70%)という特徴があり、これは10~14日間で完全に消失する。ほとんどの患者は扁桃炎(ときに白色の滲出液を伴い、レンサ球菌感染症に似る)と口蓋全体のびまん性充血を伴う全体的な咽頭炎(症例の75%)を呈する。上頸部リンパ節腫脹は75%を超える症例でみられる。腹痛も多くの症例(65%)で報告されており、一般に腸間膜リンパ節腫脹と相関する。ほかに報告されている特徴としては、悪寒、頭痛、嘔吐、下痢、肝脾腫、関節痛などがある。発作は3~5週間毎に再発し、患者は再発の前日に軽度の倦怠感を訴えるため、再発時期を予測できることが多い。発作間欠期の患者の健康状態は良好であり、発達は一般に正常であるが、下肢痛と慢性疲労の訴えが多い。
病因
PFAPAは特発性の炎症性病態である。発作中はIL-2、TNF-αの上昇、IL-10の低下、ならびにIL-1関連遺伝子(IL-1B、IL-1RN、CASP1、IL18RAP)およびIFN誘導遺伝子(AIM2、IP-10/CXCL10)の発現亢進が認められる。
診断方法
PFAPAは、臨床像に基づく除外診断である。疾患活動期の急性発作の規則性は重要な手がかりである。急性発作中に採取された血液検体からは著明な白血球増多およびCRP高値が認められる。口腔内擦過検体の培養は感染症陰性であり、患者は解熱薬または抗菌薬に反応しない。
鑑別診断
鑑別診断としては、周期熱を特徴とするその他の疾患として、反復性扁桃炎、レンサ球菌感染症、若年性特発性関節炎、ベーチェット病(Behçet disease)、周期性好中球減少症、家族性地中海熱、TRAPS、メバロン酸キナーゼ欠損症(これらの用語を参照)などがある。
管理および治療
PFAPAに対する特異的な治療法はない。発熱は非ステロイド系抗炎症薬の投与に反応しない。発作の最初の徴候が現れたときにコルチコステロイド(プレドニゾン1~2 mg/kg、またはベタメタゾン0.1~0.2 mg/kg)を投与すると、数時間以内に発作が短縮するか、消失することさえある。しかしこの治療は発作と発作との間隔を短くすることが報告されている。シメチジンおよびコルヒチンは、定期的投与により再発の予防にある程度奏効している。比較的重症で発熱発作の頻度が非常に高い症例では、扁桃摘出術を考慮してもよい。
予後
一般に10歳台のうちに発作の頻度が減少し、みられなくなる。ほとんどの症例で扁桃摘出術により根治の可能性がある。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Pr Isabelle KONE-PAUT
日本語翻訳版の監訳
西小森 隆太(難治性疾患政策研究班「自己炎症性疾患とその類縁疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/ShukiseihatsunetsuAfutaseikonaienIntoenKeiburinpasetsuen_JP_ja_PRO_ORPHA42642.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=42642
最終更新日:2014年7月
翻訳日:2019年3月
本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
この疾患に関するピックアップ記事、イベントはありません