1. HOME
  2. 46,XX精巣性性分化疾患

46,XXせいそうせいせいぶんかしっかん
46,XX精巣性性分化疾患46,XX testicular disorder of sex development

小児慢性疾患分類

疾患群-
-
大分類-
-
細分類-
-

[Orpha番号:ORPHA393]

46,XX核型を有し、正常なものからテストステロン欠乏を伴う非定型的なものまでを含む多様な男性外性器を特徴とする、まれな性分化疾患(DSD)。

病気・治療解説

疫学

推定有病率は男性20,000人当たり1例である。

臨床像

臨床表現型は多様であり、以下のような特徴がみられる:正常な男性外性器から非定型的な外性器、ミュラー管構造の欠損および不妊症を伴う停留精巣。臨床像はSRY遺伝子(Y染色体上の性決定領域)の有無に依存する。SRY陽性の症例(80~90%)は一般に、思春期以降の低身長、正常な陰毛および陰茎サイズだが小さい精巣、女性化乳房、ならびに無精子症による不妊症を呈することを除けば、正常な男性である。停留精巣と尿道下裂も報告されている。通常は性別役割や性同一性に関する懸念はない。SRY陰性の個人(10~20%)は一般に、出生時に陰茎陰嚢部尿道下裂や停留精巣といった特徴を呈する。男性性腺機能低下症による長期合併症としては、性欲減退、勃起障害、乏しい第二次性徴、骨減少症、抑うつなどがある。

病因

ほとんどの患者では、SRYを含む小さなY染色体断片のX染色体または他の染色体への転座によって病態が引き起こされ、SRY陰性例では、調節遺伝子(SOX3、SOX9)を含むコピー数変異、および一般的な再発NR5A1変異が報告されている。

診断方法

診断は、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を示す臨床所見および内分泌検査、ならびにXXゲノムを確認する染色体分析(SNPアレイ)に基づく。蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により、SRY遺伝子を同定できることがある。

鑑別診断

主な鑑別疾患は、45,X/46,XY混合性性腺異形成、47,XXYクラインフェルター症候群、46,XX卵精巣性DSD、および性染色体モザイクである。NR2F2遺伝子変異体は、心臓欠損に関連する46,XX精巣/卵精巣性 DSD表現型を有する個人、一部は先天性横隔膜ヘルニアおよび瞼裂縮小-眼瞼下垂-眼角贅皮逆性を有する個人と特徴づけられている。まれに、掌蹠角化症-XX性逆転-扁平上皮癌素因症候群(両アレル性RSPO1遺伝子変異に起因する)、SERKAL症候群(劣性WNT4変異体)、および線状皮膚欠損を伴う小眼球症(microphthalmia with linear skin defects : MIDAS)などが鑑別に挙がることがある。

出生前診断

潜在している遺伝的原因が同定されれば、妊娠における出生前診断が可能となりうる。

遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングは、罹患した個人およびその家族に提供されるべきである。再発リスクは、発見された遺伝子変化の種類に依存する。SRY陽性の症例は、通常、不妊症と関連しているため、一般に遺伝しない。SRY陰性の症例では、遺伝のパターンは、既知であれば、遺伝的原因に依存する。

管理および治療

治療の支柱は、テストステロン補充療法により、ホルモン不均衡を是正し、女性化乳房を予防し、男性第二次性徴を誘発することである。高ゴナドトロピン性性腺機能低下症が成人前に現れることはまれである。乳房縮小術が考慮される症例もある。心理学的支援およびタイムリーな生殖補助医療サービスへの紹介を行うべきである。

予後

男性性腺機能低下症の管理により合併症が減少する。患者は典型的には不妊症である。発癌リスクは低い。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Pr Faisal AHMED
Pr Kenneth MCELREAVEY
Dr Angela LUCAS-HERALD
Dr Ruth MCGOWAN
Pr Edward TOBIAS

日本語翻訳版の監訳
緒方 勤(難治性疾患政策研究班「プラダー・ウィリ症候群における診療ガイドラインの作成」)
小島 伸介(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)

日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/46XXseisoseiseibunkashikkan_JP_ja_PRO_ORPHA393.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/393

最終更新日:2019年9月
翻訳日:2021年2月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

ピックアップ・イベント

ニュース一覧

イベント一覧

この疾患に関するピックアップ記事、イベントはありません

実施中の治験/臨床試験