ふぁいんごーるどしょうこうぐん1がたファインゴールド症候群1型Feingold syndrome type 1
小児慢性疾患分類
- 疾患群-
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- 大分類-
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- 細分類-
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[Orpha番号:ORPHA391641]
まれな遺伝性先天奇形症候群で、指趾異常(手の第2指と第5指の中節骨の短縮、第5指の斜指症、足趾2-3および/または4-5の合指症、母指形成不全)、小頭症、顔面異形症(眼瞼裂狭小および小顎症)、消化管閉鎖症(主に食道および/または十二指腸)、および軽度から中等度の学習障害を特徴とする。
病気・治療解説
疫学
正確な有病率は不明である。ファインゴールド症候群1型(Feingold syndrome type 1:FS1)はFS症例の大多数を占める。これまでに推定120例が報告されている。
臨床像
FS1の特徴的な臨床所見は出生時からみられ、指趾異常が最も頻度が高く、中節骨短縮症(好発部位は第2指と第5指)、母指形成不全、合趾症などがある。患者の多くは小頭症や特異顔貌(眼瞼裂狭小、小顎症)を有する。約半数の症例でみられる最も重篤な臨床像は、食道および十二指腸(まれに空腸または肛門)閉鎖症であり、気管食道瘻を合併することもある。瘻孔の存在は、咳嗽、空嘔吐、腹部膨満のほか、一部の症例では呼吸窮迫によって明らかになる。消化管閉鎖症は、直ちに治療しなければ死に至る可能性がある。軽度の学習障害が小児期早期に明らかになることがあるが、重度の知的障害は極めてまれである。
病因
FS1は癌原遺伝子MYCN(2p24.3)の変異もしくは欠損によって生じる。この遺伝子はヒト胚発生の様々な段階で発現する塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックスドメインを含む蛋白をコードしている。
診断方法
診断は特徴的な臨床像と画像検査に基づく。消化管閉鎖症は、出生前または出生後の超音波検査かMRIで描出される。分子遺伝学的検査では、MYCN変異を同定することでFS1の診断を確定することが可能である。
鑑別診断
FS1の鑑別診断としては、FS2型(FS2)、VACTERL連合、CHARGE症候群、短指症A4型(brachydactyly type A4)、ファンコニ貧血(Fanconi anemia)などがある。
出生前診断
MYCN遺伝子に変異もしくは欠損が同定されているFS1家系では出生前検査が可能である。
遺伝カウンセリング
FS1は常染色体優性形式で遺伝し、ほとんどの症例はde novoで発生する。遺伝カウンセリングが可能である。
管理および治療
可能性のある心臓および腎臓の異常を特定するための広範囲な医学的検査が必要である。FS1(およびFS2)の健康管理は、典型的には出生直後における特定の先天異常(ある種の心奇形および/または気管食道瘻)の外科的手術に続いて、その後の続発症の長期的な内科的管理に焦点が置かれる。消化管閉鎖症に対しては、輸液と手術による迅速な治療が必要である。食道閉鎖症と気管食道瘻を有する乳児の最適な外科的治療については議論の余地があるが、この2つの病態に対する治療を受けた患者では胃食道逆流(GER)が極めて高い頻度でみられる。GERは内科的治療では難治性で、しばしば逆流防止手術が必要となる。腎臓および心臓の異常には標準治療を行うべきであり、抗菌薬の予防投与が有益となる場合がある。学習障害のある小児および成人においては、特別な教育が推奨される。難聴も同様に、言語聴覚士によるモニタリングを行うべきである。人工内耳の使用が可能な場合もある。
予後
予後は存在する先天奇形(特に心臓および腎臓の異常)によって異なる。最適な外科的矯正が可能な場合の予後は比較的良好であるが、生涯を通じて先天奇形の影響を受け続ける患者もいる。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Pr Loïc DE PONTUAL
日本語翻訳版の監訳
倉橋 浩樹(難治性疾患政策研究班「染色体微細欠失重複症候群の包括的診療体制の構築」)
大貫 雄司(藤田医科大学大学院保健学研究科臨床検査学領域遺伝カウンセリング分野)
金田 秀昭(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Feingoldshokogun1gata_JP_ja_PRO_ORPHA391641.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/391641
最終更新日:2020年8月
翻訳日:2021年2月
本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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