たちゅうしんせいこつゆうかいしょう-けっせつしょう-かんせつしょうすぺくとらむ多中心性骨溶解症-結節症-関節症スペクトラムMulticentric osteolysis-nodulosis-arthropathy spectrum
小児慢性疾患分類
- 疾患群-
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- 大分類-
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- 細分類-
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[Orpha番号:ORPHA371428]
末梢性の骨溶解(特に手根骨および足根骨)、指節間関節のびらん、皮下膠原線維結節(fibrocollagenous nodule)、顔面異形症、および幅広い合併兆候を特徴とする、まれな全身性またはリウマチ性疾患。
病気・治療解説
疫学
多中心性骨溶解症-結節症-関節症スペクトラム(MONA)の有病率および発生率は不明である。全世界で報告されている症例数は 50 件未満である。症例はサウジアラビア、イタリア、トルコ、アルジェリア、モロッコ、米国、および韓国から報告されている。
臨床像
発症は通常、学齢期前(1~5 歳)であり、本疾患の経過は多様である。本疾患の臨床像としては多発性かつ末梢性の骨溶解がみられ、これは手根骨、足根骨、中手/中足指節間および指節間関節に始まり、後に全身に波及する。関節びらんのため、手足が小さくなり、関節症から可動域減少に至り、また進行性の関節拘縮が生じる。一部の患者では、幅広い中手骨および中足骨、脊椎の全体的な骨粗鬆症、低身長、粗な顔貌または顔面異形症(前額突出と眼間開離)、歯肉の肥厚、角膜混濁、色素沈着、多毛症および皮下膠原線維結節(fibrocollagenous nodule)が報告されている。心奇形の合併が報告されており、具体的には大血管転位症、僧帽弁逸脱症、大動脈二尖弁、心房および心室中隔欠損症などがある。家系内での臨床像のばらつきも認められている。臨床的特徴の重なりと MMP2 遺伝子の変異の関与に基づき、当初は別に報告された Torg- Winchester 症候群と結節症-関節症-骨溶解症(nodulosis-arthropathy-osteolysis:NAO)症候群は、現在では MONA という臨床スペクトラムに属する病態と考えられている(他の病名も依然として使用されている)。
病因
MONA スペクトラムに属する疾患は、MMP2 遺伝子(16q13-q21)または MMP14 遺伝子(14q11-q12)の変異により生じる。本疾患の発生機序は依然として不明である。
診断方法
診断は疾患の臨床像に基づいて下され、分子遺伝学的検査により確定できる。
鑑別診断
主な鑑別診断は若年性特発性関節炎と多中心性手根骨足根骨溶解症(multicentric carpotarsal osteolysis)である。
遺伝カウンセリング
MONA スペクトラムに属する疾患は常染色体劣性形式で遺伝する。多くの症例が血族婚で生ま れた小児での報告である。原因となる突然変異を有する個人には遺伝カウンセリングを行い、突然変異を子孫に伝えるリスクが25%であることを知らせる必要がある。
管理および治療
MONA スペクトラムに対する特異的治療法はない。管理は主に対症療法である。一部の患者は 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)に反応する。
予後
進行性の関節破壊から重大な身体障害を来し、多くの患者が車椅子生活となる。ただし、余命に大きな影響はないとみられている。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Dr Andreas ZANKL”
日本語翻訳版の監訳
長谷川 高誠(岡山大学病院 小児科)
金田 秀昭(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Tachushinseikotsuyoukaishokessetsushokansetsusho_JP_ja_PRO_ORPHA371428.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/371428
最終更新日:2019年11月
翻訳日:2021年2月
本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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