わーるでんぶるぐしょうこうぐんワールデンブルグ症候群Waardenburg syndrome
小児慢性疾患分類
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[Orpha番号:ORPHA3440]
難聴および神経堤由来構造の欠陥を特徴とする稀な遺伝性多発性先天異常で、眼、毛髪、皮膚の色素異常も含まれる。「ワールデンブルグ症候群」(WS)という用語には、4つの臨床表現型が関連付けられている。
病気・治療解説
疫学
世界全体での発生率は4万人に1人と推定されている。WSは先天性難聴の2~5%を占め、男女差なくあらゆる民族に発症する。最も一般的なサブタイプはWS2で、次いでWS1である。
臨床像
臨床像は家族内および家族間で異なる。頻度の高い臨床像および主要な診断基準には、先天性の感音難聴、異色性または低形成の青い虹彩、白い前髪または30歳前の頭髪の早期白髪化、および本疾患を示唆する家族歴が含まれる。眼角開離はWS1およびWS3において主要な診断基準であり、WS2ではこの所見が欠如していることで他の病型と臨床的に区別される。WS3では、WS1に類似する臨床像に加えて、筋骨格系の低形成、屈曲拘縮、手根骨癒合、合指症などの上肢異常が認められる。小基準としては、先天性白斑、内側の眉毛の叢生、広い/高い鼻根と突出した鼻柱、鼻翼低形成などがある。WSは、少なくとも大基準を2つ、または大基準1つと小基準2つを満たすことで診断される(早期白髪化はWSの病型に応じて、大基準または小基準のいずれかに分類される)。ワールデンブルグ-シャー症候群(ワールデンブルグ症候群4型としても知られる)は、WS2の所見に加えてヒルシュスプルング病を合併することを特徴とし、関連する合併症のため、他の病型とは別個に考慮されるべきである。
病因
WSは遺伝学的に多様である。現在までに、PAX3(2q36.1)、MITF(3p14-p13)、SNAI2(8q11.21)、SOX10(22q13.1)、EDNRB(13q22.3)、EDN3(20q13.32)の6つの遺伝子に疾患原因となる病的変異が同定されている。PAX3遺伝子の変異はWS1およびWS3でみられ、MITF遺伝子の変異はWS2およびWS4で報告されている。MITF遺伝子とTYR遺伝子(または低機能アレルであるTYRR402Q)の二遺伝子性遺伝が、眼白皮症を伴うWS2の家系で報告されている。ホモ接合性のSNAI2遺伝子の欠失が、2例のWS2患者で報告されている。TYR遺伝子は、WS2における修飾遺伝子として、色素形成および臨床的多様性に影響を与えることが知られている。SOX10遺伝子の変異はWS2およびWS4の患者で検出されており、非コード領域の調節性変異がWS2およびWS4の臨床的多様性に寄与することも示されている。EDNRBおよびEDN3遺伝子の変異もWS4で報告されている。
診断方法
診断は、臨床所見に加え、関連遺伝子の変異を確認するための遺伝学的検査に基づく。標準的な評価には、聴力検査(オージオメトリー)および眼科的検査に加え、MRI検査が含まれる。
鑑別診断
ワールデンブルグ・シャー症候群 (WS4) の他に、鑑別診断には、進行性網膜色素変性症を特徴とするアッシャー症候群、聴覚障害を伴わない広範な色素異常を特徴とする白皮症、聴覚障害と顔面異常に加えて腎臓異常を伴うBOR症候群、および重度の聴覚障害と皮膚、髪、目全体に影響を及ぼす白皮症を伴うティーツ症候群がある。
出生前診断
家族性変異が特定されれば、出生前診断が可能である。羊水穿刺またはCVS(Chorionic Villus Sampling:絨毛検査)は、遺伝子検査用の胎児DNAを提供する標準的な方法である。
遺伝カウンセリング
WS症例の大部分は常染色体顕性(優性)遺伝であり、子孫へのリスクは50%である。WS3(およびWS4)では潜性(劣性)遺伝が時々認められる。再発リスクや不完全浸透について話し合うために、遺伝カウンセリングを受けることが推奨される。
管理および治療
治療は対症療法に重点が置かれる。多職種連携によるケアと最適化された早期介入(言語療法/補聴器/人工内耳)が行われる。WS4では、ヒルシュスプルング病に関連する合併症のため、特異的な管理と外科的治療が必要となる。
予後
予後は概ね良好であり、平均余命は正常である。聴覚障害は、コミュニケーションや社会参加に支障をきたし、生活の質に影響を与える。WS4では、ヒルシュスプルング病に関連する合併症により、罹患率および死亡率が上昇する。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Dr Véronique PINGAULT
Dr Margarida PATRÍCIO
Dr Raquel SILVA
日本語翻訳版の監訳
小崎 健次郎(難治性疾患政策研究班「先天異常症候群領域の指定難病等のQOLの向上を目指す包括的研究」)
小島 伸介(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)
日本語版URL
https://www.orpha.net/pdfs/data/patho/Pro/other/Waardenburg-syndrome_JP_ja_PRO_ORPHA3440.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/3440
最終更新日:2024年10月
翻訳日:2025年12月
本要約の翻訳は、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)臨床専門分科会に所属される専門医や、その他の希少疾患専門医のご協力の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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