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わーるでんぶるぐしょうこうぐん
ワールデンブルグ症候群Waardenburg syndrome

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA3440]

ワールデンブルグ症候群(Waardenburg syndrome:WS)は、様々な程度の難聴と神経堤由来組織の軽微な異常(眼、毛髪、および皮膚の色素異常など)を特徴とする疾患である。WSは臨床的および遺伝学的に4つの表現型に分類されている。

病気・治療解説

疫学

全世界での発生率は約1/40,000と推定されている。ワールデンブルグ症候群1型(WS1)および2型(WS2)が最も頻度の高い病型である。ワールデンブルグ症候群3型(WS3)および4型(WS4;これらの用語を参照)は比較的まれで、WS3については現在までに世界で数例しか報告されていない。WSは先天性難聴の症例全体の約3%を占めている。

臨床像

臨床像は家族内および家族間で異なる。頻度の高い臨床像としては、先天性の感音難聴、異色性または低形成の青い虹彩、白い前髪、頭髪の早期(30歳前)白髪化などがある。これらはいずれも、本疾患を示唆する家族歴と並ぶ大基準であり、WS1およびWS3では眼角開離も大基準となる。小基準としては、先天性白斑、眉毛叢生/medial eyebrow flare、広い/高い鼻根と突出した鼻柱、鼻翼低形成などがある。WSは大基準2つ以上、または大基準1つと小基準2つ以上を満たす場合と定義される(早期白髪化はWSの病型に応じて大基準と小基準のどちらにもなる)。WS1はこれらの基準に加えて眼角開離を認める場合である。眼角開離を認めないことでWS2をWS1と鑑別できる一方、WS3はWS1に類似するが、さらに上肢の異常が必要である。WS4は、WS2の所見に加えてヒルシュスプルング病(Hirschsprung disease)の所見を認めることを特徴とする。

病因

WSは遺伝学的に多様である。現在までにPAX3(2q36.1)、MITF (3p14-p13)、SNAI2(8q11.21)、SOX10(22q13.1)、EDNRB(13q22.3)、EDN3(20q13.32)の6つの遺伝子に変異が同定されている。PAX3遺伝子の変異はWS1およびWS3でみられ、MITF遺伝子はWS2で変異がみられる。MITF遺伝子の生存に不利な変異の遺伝(dysgenic inheritance)[TRI1]とTYR変異(および/またはhypomorphicアレルTYRR402Q)の併存が、WS2と眼白皮症(この用語を参照)がみられる2つの家系で報告されている。ホモ接合性のSNAI2遺伝子の欠失が2例のWS2患者で報告されている。SOX10遺伝子の変異はWS4およびWS2患者で検出されている。EDNRBおよびEDN3遺伝子の変異もWS4で報告されている。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Véronique PINGAULT
日本語翻訳版の監訳
小崎 健次郎(難治性疾患政策研究班「先天異常症候群領域の指定難病等のQOLの向上を目指す包括的研究」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Waardenburgshokogun_JP_ja_PRO_ORPHA3440.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=3440

最終更新日:2015年11月
翻訳日:2019年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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