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C3じんしょう
C3腎症C3 glomerulopathy

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA329918]

腎生検で糸球体の免疫蛍光染色でC3のみ陽性(または少なくともC3優位)となる糸球体腎炎の存在を特徴とする一次性膜性増殖性糸球体腎炎の一病型である。非特異的または増殖性変化で糸球体染色がC3優位となる場合もある。電子顕微鏡所見に基づき、C3腎症(C3G)はさらにC3糸球体腎炎(C3GN)とdense deposit disease(DDD)に分類されることがある。

病気・治療解説

疫学

C3腎症の発生率は1/300,000~1,000,000と推定されている。C3腎症の頻度に性差はないようである。

臨床像

DDDの方がC3GNよりも若年(通常は青年期)に発症する傾向がある。ただし、いずれの疾患も成人期まで症候が現れない場合もある。C3腎症の全ての患者に蛋白尿および/または血尿がみられ、蛋白尿の程度は様々で、ネフローゼ域になる場合もある。C3腎症の患者における発症時の高窒素血症の程度は様々であり、腎機能が低下する速度も様々である。高血圧がみられることもある。ときに急速進行性(半月体形成性)糸球体腎炎が発生することがある。C3腎症の初発症状に先立って上気道感染症がみられることがある。DDD患者の多くで、またC3GN患者でもときに、網膜のブルッフ膜にドルーゼンが生じる。DDDでは、後天性部分性脂肪萎縮症を認めることがある。C3腎症では典型的には血清C3が低値となり、他の補体に異常が認められることもある(例、血清sC5b-9高値)。古典経路の補体の血清濃度は通常正常であるものの、少数の患者では経過中のある時点で血清C4値が低くなることがある。C3腎炎因子(C3NeF)がDDD患者の約80%、C3GN患者の約40%にみられる。

病因

病態生理は完全には解明されていないものの、補体副経路の調節不全がよく報告されている:C3NeFに関連する血清C3値の低下がほとんどの患者で認められ、少数の患者は補体因子H(FH)もしくはB(FB)に対する自己抗体、または補体遺伝子(CFHR[Complement Factor H Related]遺伝子[CFHR1、2、3、5]、CFH、C3など)の変異を有する。変異に加えて一般的な感受性バリアントの存在も、C3腎症のリスク上昇に関連する。補体副経路に異常がある患者では、それが基盤となり、ありふれた感染症によってC3腎症が誘発されることがある。

診断方法

C3腎症の診断は、糸球体腎炎が疑われる患者において腎生検により行われ、病理学的所見で腎組織に免疫グロブリン沈着を認めないかほとんど認めない状態でC3が蓄積していれば、診断確定となる。C3腎症をさらにDDDとC3GNに分類するには、電子顕微鏡検査が必要である。

鑑別診断

鑑別診断としては、急性糸球体腎炎およびネフローゼ症候群のほぼすべての原因に加え、アテローム塞栓症、補体介在性血栓性微小血管症、感染後急性糸球体腎炎などがある。

遺伝カウンセリング

単一遺伝子を原因とするC3腎症の家族性症例はまれである。散発例では、約20%に遺伝子バリアントが報告されているが、それらのバリアントの病原性は不明である。バリアントが同定された場合には、家族の遺伝子検査が推奨される。

管理および治療

現在のところ、治療決定の指針となるエビデンスに基づくガイドラインは限られている。すべてのC3腎症患者に対する一般的な対策としては、血圧コントロール、レニン・アンジオテンシン系の阻害による蛋白尿の最小化、脂質異常症の治療などがある。一次性C3腎症および腎炎-ネフローゼ表現型(nephritic-nephrotic phenotype)の患者には、副腎皮質ステロイドおよび免疫抑制薬の使用、血漿交換など、数多くの治療レジメンが試されている。様々な治療レジメン(MMFおよびグルココルチコイド、リツキシマブ、ならびにエクリズマブ)が報告されているが、得られている結果は限られている。補体副経路の調節異常がある患者においては、上記のアプローチが成功しなかった場合は特に、補体阻害薬の使用が妥当となる可能性がある。それらの薬剤(特にエクリズマブによる治療)は、約3分の1の患者にしか効果がないことが示されている。上流(C3 convertaseのレベル)に作用する薬剤について、臨床試験でのさらなる検討が必要である。

予後

小児患者の約70%、成人患者の30~50%で診断後10年以内に末期腎不全への進行がみられる。腎移植後の再発により、移植後10年以内に50%以上の患者で移植片が失われる。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Erica DAINA
Dr Marina VIVARELLI

日本語翻訳版の監訳
成田 一衛(IRUD臨床専門分科会 腎疾患 チーフ/新潟大学 腎膠原病内科学 教授)

日本語版URL
http://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/C3_glomerulopathy_JP_ja_PRO_ORPHA329918.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=en&Expert=329918

最終更新日:2021年8月
翻訳日:2023年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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