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きょうがくびょう(いでんせい)
驚愕病(遺伝性)Hereditary hyperekplexia

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA3197]

遺伝性驚愕病(hereditary hyperekplexia)は、過剰な驚愕反応を特徴とする遺伝性の神経疾患である。

病気・治療解説

疫学

現在までに約150例が文献で報告されている。

臨床像

遺伝性驚愕病(hereditary hyperekplexia)は、出生直後から音および触覚刺激に対する驚愕反応(激しいびくつき[jerking]、体幹や四肢における筋緊張の亢進、手掌の把握、小刻みな振戦)および全身の筋硬直として現れる。新生児は喉頭痙攣および心肺停止による乳児突然死のリスクがある。筋緊張亢進の発作は、てんかん発作に似ることもあるが、睡眠により筋硬直およびびくつきなどの驚愕反応が減弱または消失することがあり、脳波は正常である。生後数カ月のうちに全身の筋硬直は減弱するが、外部刺激に対するびくつきまたは興奮は持続する。運動発達の獲得はわずかに遅れることが多いが、知的発達は一般に正常である。患児はよちよち歩きになり、しばしば介助や支えを要する。急いでいるとき、雑踏の中、あるいは強制されたときには歩行障害が増悪する。つまずいたり予想外の衝撃を受けたりすると、筋緊張の亢進により制御できない(「手足を出すことができず」)転倒を来し、重篤なけがを負うリスクがある。

病因

遺伝性驚愕病患者の約30%(および明らかに同様の症状が認められる親をもたない多くの患者)において、GLRA1遺伝子(染色体5q32に座位)の変異が同定されている。これらの変異は、常染色体優性または劣性形質として遺伝する。GLRA1遺伝子は、抑制性神経伝達物質であるグリシン受容体のα1サブユニットをコードしている。このサブユニットの変異はニューロンに発現するクロール(Cl−)チャネルに様々な機能障害を引き起こすことから、遺伝性驚愕症はイオンチャネル病とみなされている。GLRB、SLC6A5遺伝子(それぞれ染色体4q31.3、11p15.2-p15.1に座位)の変異も報告されている。

診断方法

診断は臨床徴候、分子遺伝学的検査、および電気生理学的検査に基づく。

鑑別診断

鑑別診断としては、症候性の驚愕病および筋攣縮疾患、周産期脳障害や代謝性疾患によるてんかんなどがあるが、これらについては、脳波が正常で、睡眠により筋硬直とびくつきが減弱または消失すれば除外できる。

管理および治療

成人に対する対症療法にはクロナゼパム(1 mg/日)が使用される。小児では低用量で投与する必要がある。ビガバトリンは無効である。小児には、理学療法や訓練を行うよりも、日常生活に必要な動作を繰り返し行うことが有益である。軟らかい地面や砂の敷かれた地面で活動を行うことも有効である。疾患のことを知らない教師、親類、友人の無理解、嘲り、プレッシャーに対する介入が必要になる場合がある。

予後

転倒への恐怖とよちよち歩きは、ほとんどの患者で青年期に正常化する。しかし、予期しない刺激への激しい驚愕やびくつきは生涯持続し、広い空間を横切ることへ不安をもったり、たどたどしく躊躇しながら歩行することに苦しむ患者もいる。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Pr Hans-Michael MEINCK
日本語翻訳版の監訳
竹谷 健(難治性疾患政策研究班「驚愕病の疫学、臨床的特徴、診断および治療指針に関する研究」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/KyogakubyoIdensei_JP_ja_PRO_ORPHA3197.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=3197

最終更新日:2010年8月
翻訳日:2019年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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