にこらいです-ばらいつぁーしょうこうぐんニコライデス-バライツァー症候群Nicolaides-Baraitser syndrome
小児慢性疾患分類
- 疾患群-
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- 大分類-
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- 細分類-
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[Orpha番号:ORPHA3051]
知的障害を主体とするまれな遺伝性症候群であり、低身長、まばらな毛髪、特徴的な粗な顔貌、指節間関節の突出を伴う短指症、痙攣発作、および知的障害を特徴とする。顔貌上の特徴としては、逆三角形の顔、濃く目立つ睫毛、円形の前上顎部、広い鼻底、厚い鼻翼、上向きの鼻尖、幅広い人中、薄い上赤唇、めくれた厚い下赤唇、広い口などがある。
病気・治療解説
疫学
本疾患の有病率は不明であるが、1/1,000,000未満と考えられている。現在までに、分子遺伝学的に確定診断されて文献で報告されている罹患者は100例未満である。男女比や地理的分布に有意な差は報告されていない。
臨床像
出生時に、在胎不当過小(全症例の3分の1)、顔面の多毛症、前頭部および側頭部の毛髪線低位、および小頭症(4分の1)を認めることがある。出生後には、小頭症および均整のとれた低身長が半数以上の患者でみられる。頭髪はほぼ全例でまばらとなり、生後数カ月で明らかになることがある。皮下脂肪の減少による指節間関節の突出が最も特徴的な徴候であり、指腹の隆起(fetal pads)を伴うこともある(半数)。手の画像所見として、短い中手骨、短い指節骨、円錐形の骨端、ivory epiphysisなどが少数例でみられる。足趾の軽度短縮、サンダルギャップ、および母趾末節骨のいくらかの肥厚を認めることがある。これらの特徴の大半(特に四肢と顔貌上の特徴)は、時間とともにより明らかになっていく傾向がある。3分の1の患者で筋緊張低下が報告されるが、独力での座位や歩行などの主要な運動発達マイルストーンの達成は通常それほど遅れない。知的障害は、ほぼ半数の症例で重度、3分の1の症例で中等度、残りの症例で軽度である。ほぼ3分の1の症例では発話および言語技能の発達が全くみられない。3分の2の患者でてんかんがみられ、生後18~24カ月の間に発症し、退行と相関することがある。発作型は様々で、同一患者内で変化することもあり、管理が困難になる可能性がある。気質は一般に明るく非常に友好的であるが、かんしゃくを起こしたり、発作的に攻撃性を示したりする可能性がある。そのほかにも様々な先天異常がみられる。
病因
本疾患はSMARCA2(9p24.3)のミスセンスバリアント(全症例の80%)または遺伝子内欠失に起因する。この遺伝子はATP依存性クロマチンリモデリング酵素に属する蛋白をコードしており、遺伝子発現の調節と細胞周期の制御に関与している。約17%の患者では、バリアントが同定されていない。
診断方法
診断は、まばらな毛髪を伴う顔貌、知的障害、指節間関節の突出を伴う短指症、およびてんかん発作の独特の組合せから疑われる。分子遺伝学的診断はSMARCA2のバリアントの同定に基づく。
鑑別診断
鑑別疾患としては、コフィン-シリス症候群(Coffin-Siris syndrome)、ウィリアムズ症候群(Williams syndrome)、コルネリア デ ランゲ症候群(Cornelia de Lange syndrome)などがある。
出生前診断
家系内の罹患者に病的バリアントが同定されている場合は、理論的にリスクが高い妊娠を対象とする出生前検査が可能である。
遺伝カウンセリング
遺伝形式は常染色体顕性(優性)である。これまでのところ、罹患者に認められているSMARCA2の病的バリアントはde novo変異であり、このことから同胞のリスクは低いと示唆される。しかしながら、理論的には親に生殖細胞系列モザイクがある可能性があることから、同胞に対する経験的な再発リスクは約1%となる。
管理および治療
臨床的管理には、知的発達の進展またはてんかん発作の発症をモニタリングすることを目的として、小児神経科医/神経精神科医による定期的な評価が必要である。機能獲得を促す治療法や支援する治療法(非言語的コミュニケーションを含む)と特別な学校プログラムが必要である。てんかん発作を抑制するために抗てんかん薬が必要とみられているが、ときにうまく抑制できず、結果として入院が必要になることもある。眼科的異常および聴覚異常の定期的なフォローアップが推奨される。
予後
予後は様々で、主にてんかん発作の発症年齢とその管理の困難さに影響を受ける。自立した生活を送れるかどうかは知的障害の重症度に依存し、完全な達成はできない可能性が高い。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Dr Gianluca CONTRO
Dr Livia GARAVELLI
日本語翻訳版の監訳
丸山 幸一(IRUD 臨床専門分科会 神経・筋疾患委員/愛知県医療療育総合センター・中央病院 小児神経科部長)
日本語版URL
http://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Nicolaides-Baraitser_syndromeJP_ja_ORPHA3051.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/3051
最終更新日:2021年3月
翻訳日:2024年3月
本要約の翻訳は、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)臨床専門分科会に所属される専門医や、その他の希少疾患専門医のご協力の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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