Opitz G/BBBしょうこうぐんOpitz G/BBB症候群Opitz G/BBB syndrome
小児慢性疾患分類
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[Orpha番号:ORPHA2745]
眼間開離、喉頭-気管-食道欠損、尿道下裂の特徴をもつ、まれなX連鎖先天性正中線奇形症候群。
病気・治療解説
疫学
X連鎖Opitz G/BBB症候群(Opitz G/BBB syndrome:GBBB)の有病率は1/50,000〜1/100,000である。男性の方がより重度となる。150人を超える患者がMID1突然変異として報告されている。臨床診断は、表現型の混乱のために古い文献では信頼性を欠く。
臨床像
GBBB症候群は通常特徴的な顔面異形症を示す。目立つ前額、眼間開離(症例の95%以上)および眼角隔離、口蓋口唇裂(50%)、広い鼻梁、広い鼻端および上向きの鼻孔。奇形としては、尿道下裂(80%)、閉鎖性または異所性肛門(20%)、喉頭裂(50%)、嚥下困難、逆流およびその他の食道の問題(30%)があり、頻度は低いが、先天性心奇形(20%)および小脳虫部の脳梁欠損症または形成不全がある。発達遅滞または知的障害(intellectual deficiency :ID)が男性の3分の1にみられる。女性保因者は、ほとんどが眼間開離のみを示し(>90%)、他の症状を示すことはまれである。軽症型のGBBBがMID2変異体をもつ単一家系で報告されている。
病因
Opitz G/BBB症候群は、微小管を伴うユビキチンE3リガーゼであるmidline-1蛋白をコードするMID1遺伝子(Xp22)の変異に起因する。最初の報告では、喉頭奇形を伴う(G症候群)または伴わない(BBB症候群)2つの異なるX連鎖midline欠損が記載されていた。両表現型は後に同じ遺伝子に割り当てられたが、遺伝子型/表現型の相関は認められず、同じ突然変異を有する患者でも臨床症状に大きなばらつきが認められる。
診断方法
Opitz G/BBB症候群は、臨床所見、すなわち眼間開離と他の主要所見(尿道下裂または喉頭気管食道異常)のうち少なくとも1つがみられる男児、で疑われる。診断はMID1変異の同定により確定される。
鑑別診断
GBBB症候群の主な鑑別診断はSPECC1L症候群(Teebi眼間開離症候群)である。SPECC1L症候群は著しく重複した頭蓋顔面表現型を有し、過去の文献において、MID1で確認されたGBBBと様々な重複する状態との間での混乱を招いている。耳孔、子宮奇形、臍ヘルニア、横隔膜ヘルニア、まれに頭蓋骨癒合症および大動脈基部拡張はSPECC1Lに特異的であるが、喉頭および肛門直腸欠損はGBBBに特異的である。IDは後者でより一般的である。22q11.2欠失症候群患者における「BBBG様」表現型が例外的に観察されたことから、さらなる疾病分類学的混乱が生じた。Baraitser-Winter脳前頭顔面症候群(Baraitser-Winter cerebrofrontofacial syndrome)(ACTB、ACTG1)、頭蓋前頭鼻骨異形成(craniofrontonasal dysplasia)(EFNB1)、前頭鼻異形成(frontonasal dysplasia)、Aarskog症候群(FGD1)は高度の眼間開裂を示す。
出生前診断
家系内罹患者においてMID1の変異が同定されていれば、出生前検査が可能である。
遺伝カウンセリング
遺伝様式はX連鎖である。患者、キャリア、またはキャリアとなるリスクのある若年成人には、遺伝カウンセリングが推奨される。女性がキャリアである場合、将来の男性の子孫が罹患するリスクは50%であり、将来の女性の子孫がキャリアとなるリスクは50%である。罹患した男性では、将来の男性の子孫は常に罹患しないが、将来の女性の子孫は常にキャリアである。
管理および治療
小児科医、頭蓋顔面、耳鼻咽喉および泌尿器の外科医、心臓専門医、ならびに遺伝学者による集学的な医学的支援が必要である。神経発達支援および言語療法が必要になることがある。
予後
奇形や合併する知的障害の重症度に応じて予後は様々であるが、通常は良好である。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Pr Alain VERLOES | ITHACA*
日本語翻訳版の監訳
緒方 勤(難治性疾患政策研究班「プラダー・ウィリ症候群における診療ガイドラインの作成」)
小島 伸介(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/OpitzGBBBshokogun_JP_ja_PRO_ORPHA2745.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/2745
最終更新日:2020年11月
翻訳日:2021年2月
本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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