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8p23.1びさいけっしつしょうこうぐん
8p23.1微細欠失症候群8p23.1 microdeletion syndrome

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
-

[Orpha番号:ORPHA251071]

8p23.1微細欠失症候群は、8番染色体短腕の部分欠失であり、出生時の低体重、出生後の成長不良、軽度の知的障害、多動、頭蓋異常、および先天性心疾患を特徴とする。

病気・治療解説

疫学

有病率は不明であるが、8p23.1欠失はまれである。現在までに8p23.1バンドを含む中間部または端部の欠失が50例以上報告されているが、明らかな性差は認められない。

臨床像

臨床像は多様であるが、大半の患者で同じであることから、欠失の大きさに依存しないと考えられる。よくみられる臨床像としては、出生前および出生後の発育遅滞、出生時の低体重、軽度から中等度の知的障害、精神運動発達遅滞、乏しい発話、痙攣発作、多動や衝動性といった行動症状などがある。頻度の高い頭蓋顔面異常としては、小頭、高く狭い前額部、広い鼻梁、内眼角贅皮、高口蓋、短頸、耳介低位、耳介の形態異常などがある。さらに、先天性心疾患(房室中隔欠損、肺動脈弁狭窄)や先天性横隔膜ヘルニア、また男児では停留精巣と尿道下裂もよく報告されている。知能が正常な罹患者も報告されている。

病因

8p23.1微細欠失は、隣接する低頻度反復配列(low-copy repeats:LCRs)を介した非アレル間相同組換え(non-allelic homologous recombination)により生じる可能性が高く、そうであれば一般的な大きさが約3.4 Mbであることの説明がつく。先天性心疾患と先天性横隔膜ヘルニアは、GATA4のハプロ不全で最もよく説明することができる。

診断方法

診断は臨床像とそれを踏まえて行う染色体分析の結果に基づく。8p23.1微細欠失は、標準的な核型分析ではしばしば見逃され、ほとんどが分子細胞遺伝学的解析法(molecular karyotyping)により検出されている。分子遺伝学的な分析法(FISH、MLPA、aCGH)により、欠失の遺伝学的特徴を明らかにすることができる。

鑑別診断

鑑別診断としては、22q11.2欠失症候群(口蓋帆・心臓・顔症候群[velocardiofacial syndrome];この用語を参照)などがある。的確な細胞遺伝学的解析法により診断が確定される。

出生前診断

羊水穿刺または絨毛採取と分子細胞遺伝学的分析による出生前診断が可能である。

遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングが推奨される。8p23.1微細欠失は大半がde novo発生である。しかしながら、両親のいずれかが関連する染色体再構成の保因者である場合は子供に伝える可能性があり、その場合の再発率は子供ごとに50%である。

管理および治療

管理としては、適切な専門医(総合診療医、小児科医、心臓専門医など)による評価、治療、および定期的なフォローアップが行われる。早期の診断と最大限の発達を目指した主要な発達療法へのアクセスが有益であることが証明されている。

予後

重大な先天性心奇形や横隔膜ヘルニアがなければ平均余命は一般と変わらないと考えられている。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Pr Koenraad DEVRIENDT
日本語翻訳版の監訳
涌井 敬子(難治性疾患政策研究班「染色体微細欠失重複症候群の包括的診療体制の構築」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/8p23.1bisaikesshitsushokogun_JP_ja_PRO_ORPHA251071.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=251071

最終更新日:2012年12月
翻訳日:2019年4月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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