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Mesomelia-synostosesしょうこうぐん
Mesomelia-synostoses症候群Mesomelia-synostoses syndrome

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA2496]

進行性の四肢中部短縮(mesomelia)および四肢の骨癒合、特異顔貌、ならびに軟口蓋の異常を特徴とする、まれな症候群性の骨軟骨形成異常症である。

病気・治療解説

疫学

これまでに報告されている患者は10名に満たない。

臨床像

Mesomelia-synostoses症候群(MSS)は、他の中間肢異形成症(mesomelic dysplasia)とは異なり、緩徐進行性の臨床経過をたどり、少なくとも骨格の成長が停止するまで進行する。対称性の肢端の骨癒合および骨格外病変が鑑別上の特徴である。頭蓋顔面の表現型としては、眼瞼裂斜下、眼瞼下垂、眼角開離、軟口蓋低形成、口蓋垂の欠如または低形成とそれに伴う開鼻声、軽度に後退した長い下顎などがある。骨格の異常は、低身長、大小関節の進行性の非炎症性運動制限、上肢および下肢の弓状変形および短縮、先天性または出生後の関節変形(弯指趾症および屈指趾症、手首関節の尺側偏位、橈骨頭亜脱臼、外反膝、尖足)、ならびに手足の(第1および第2指列を除く)見かけ上の軸後性短指症から構成される。MSS患者では、複雑な先天性心疾患、先天性水腎症、短い臍帯、臍帯断端の余剰な皮膚、近視、短い舌小帯、および進行性の難聴がみられることがある。認知機能の発達は正常である。画像検査での異常としては、第2-3~第5中手骨および中足骨の短縮、これらの骨の基部間または第2~第5中手骨および中足骨と隣接する手根骨および足根骨の癒合、手根骨および足根骨同士の部分的癒合、大腿骨遠位部の軽度の内弯などがある。

病因

8q13.2q13.3の2つの隣接遺伝子、すなわちSULF1およびSLCO5A1の非再発性の欠失が、582~738Kbの大きさで6名の患者に検出されている。また、微小欠失を伴わないSULF1の単アレル性発現が1名の患者で報告されている。MSSを引き起こす正確な機序は現在のところ不明であるが、2つの遺伝子のうちいずれかのハプロ不全だけでなく、他にも遺伝子のまたはエピジェネティックな変化がMSSの表現型に寄与している可能性が高い。

診断方法

診断は臨床および画像所見に基づいて行われる。分子遺伝学的解析(ゲノムアレイなど)によりSULF1およびSLCO5A1のコピー数減少が検出されることがある。

鑑別診断

画像上では、Kantaputra型中間肢異形成症が非常によく似た肢端異常を呈する。その他のまれな中間肢異形成症(例、Langer型またはFryns型中間肢異形成症)は、骨癒合を合併しない。骨癒合がみられる症候群(例、Nievergelt症候群、多発性骨癒合症候群[multiple synostoses syndrome]または近位指節癒合症候群[proximal symphalangism syndrome]、Osebold-Remondini症候群)には、他の異常パターンの合併がみられる。

出生前診断

リスクのあるカップルは、8q13微小欠失に対する侵襲的出生前診断または着床前遺伝子診断の両方を利用できる。胎児超音波検査では、橈骨および尺骨の低形成、短指症、指趾間の異常な間隙、内反足、小顎症、先天性心疾患、または水腎症が(もしあれば)明らかになる可能性がある。

遺伝カウンセリング

MSSは常染色体顕性(優性)の形質として遺伝する。片親が罹患している場合、再発リスクは50%である。

管理および治療

早期診断を下すことでより効果的なケアが可能になる。骨格および関節の障害が進行することから、整形外科医およびリハビリテーション医による定期的なフォローアップおよび治療が有益である。心臓手術または口蓋異常の外科的矯正と言語療法が必要となることもある。

予後

平均余命は不明であるが、成人期には臨床像が安定するようである。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Pr Andrea DARDIS
Dr Alessandro SPINELLI

日本語翻訳版の監訳
涌井 敬子(難治性疾患政策研究班「染色体微細欠失重複症候群の包括的診療体制の構築」)
小島 伸介(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)

日本語版URL
http://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Mesomelia-synostoses_syndrome_JP_ja_PRO_ORPHA2496.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/2496

最終更新日:2021年12月
翻訳日:2023年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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