1. HOME
  2. 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸尿症

3-ひどろきし-3-めちるぐるたるさんにょうしょう
3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸尿症3-hydroxy-3-methylglutaric aciduria

小児慢性疾患分類

疾患群-
-
大分類-
-
細分類-
-

[Orpha番号:ORPHA20]
3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAリアーゼの欠損によるまれな有機酸尿症。絶食や感染の時期に誘発される低ケトン性低血糖を伴う代謝性代償不全のエピソードを特徴とする。

病気・治療解説

疫学

3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸尿症(3HMG)は全ての民族で発生する。発生率が100万分の1未満と推定される米国、台湾および中国本土では、この疾患は極めてまれである一方、サウジアラビア、ポルトガル、およびスペインでは多くみられる。ポルトガルにおける出生時罹患率は出生125,000人当たり1人と推定されている。

臨床像

臨床像は多彩であり、深刻な転帰をきたす可能性がある重度の新生児発症から成人期の発症まで様々である。ほとんどの患者は生後1年以内に症状を呈し(新生児期では50%)、絶食または感染の時期に誘発された代謝性代償不全の発現を伴い、未治療のまま放置すると神経学的後遺症に至ることがある。新生児または乳児はアシドーシスおよび低血糖を呈し、嘔吐、脱水、筋緊張低下および嗜眠を伴う。急性代償不全は感染症、ワクチン接種および食事の変化によって誘発される。典型的な臨床検査所見には、低血糖、アシドーシス、アニオンギャップの増加、高アンモニア血症およびトランスアミナーゼの上昇がある。長期の神経学的合併症がよくみられる。患者の半数は正常な認知発達を示すが、残りは精神運動障害を示す。発語および運動発達遅滞が頻繁にみられる。脳MRIでは大脳白質、視床および基底核の信号強度にびまん性の異常がしばしば認められる。その他の症状には、大頭症、拡張型心筋症、不整脈、肝腫大および急性膵炎などがある。小児は通常、発作と発作の間は健康である。その後の急性クリーゼには、食欲不振、嗜眠、行動変化、過敏性および筋力低下が先行することがある。低ケトン性低血糖が特徴的である。

病因

3HMGは、HMGCL遺伝子(1p36.11)変異に起因する。

診断方法

診断は血漿アシルカルニチン(C5OHおよびC6DCアシルカルニチン高値)および尿中有機酸のタンデム質量分析プロファイル(高濃度の酸 : 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸、3-ヒドロキシ-イソ吉草酸、3-メチルグルタコン酸、および3-メチルグルタル酸)に基づく。診断は突然変異解析により確定できる。

鑑別診断

鑑別診断としては、敗血症、脂肪酸酸化異常症、有機酸尿症、およびライ症候群などがある。

出生前診断

妊娠後期に羊水中の有機酸レベルおよび母親の尿検査所見から3HMGが示唆されることがあり、確定診断には、絨毛膜絨毛の培養羊水細胞検査または分子遺伝学的検査が必要である。

遺伝カウンセリング

3HMGは常染色体劣性遺伝疾患である。すべての家族に遺伝カウンセリングが提供されるべきである。

管理および治療

急性代謝性クリーゼを起こしている患者には、10%グルコースの静脈内投与および支持療法による治療が必要である。維持療法としては、ロイシン除去アミノ酸混合物を含有するタンパク/ロイシン制限食、脂肪摂取制限、および定期的(3~6時間毎)に食事をすることが必要である。カルニチン補充がしばしば行われる。

予後

迅速に診断されて小児期を生き延びた患者の予後は良好である。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Anabela BANDEIRA
Dr Laura VILARINHO
日本語翻訳版の監訳
深尾 敏幸(難治性疾患政策研究班「先天代謝異常症の生涯にわたる診療支援を目指したガイドラインの作成・改訂および診療体制の整備に向けた調査研究」)
小島 伸介(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)

日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/3hidorokishi3mechirugurutarusannyosho_JP_ja_PRO_ORPHA20.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/consor/cgi-bin/Disease_Search.php?lng=EN&data_id=3296

最終更新日:2020年2月
翻訳日:2021年2月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

ピックアップ・イベント

ニュース一覧

イベント一覧

この疾患に関するピックアップ記事、イベントはありません

実施中の治験/臨床試験