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きゃっとあいしょうこうぐん
キャットアイ症候群Cat-eye syndrome

小児慢性疾患分類

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[Orpha番号:ORPHA195]

キャットアイ症候群(cat-eye syndrome:CES)は、非常に多様な臨床症状を伴うまれな染色体異常症である。ほとんどの患者が眼(虹彩コロボーマ)、耳(耳介前小孔および/または耳介前小突起)、肛門部(鎖肛)、心臓、および腎臓に症状を起こす多発奇形を有する。知的障害は通常、軽度または正常とのボーダーラインである。

病気・治療解説

疫学

CESの推定有病率は1/50,000~1/150,000出生である。罹患率に男女差はないとみられている。

臨床像

CESは特徴や重症度に関して、正常な表現型から重症の多臓器疾患まで非常に幅広い臨床スペクトラムを示す。目に見える3つの主な特徴は、耳介前異常、鎖肛、および虹彩コロボーマであるが、一貫してみられるものはない。耳介前小突起および/または耳介前小孔が最も一貫した特徴である。典型的な眼の異常は、50%足らずの患者でしかみられない。眼のコロボーマは、虹彩、脈絡膜、網膜に及んでいる。それらより頻度は低いが、片側性小眼球症、無虹彩症、角膜混濁、白内障、デュアン奇形がみられることもある。耳介前小突起および/または耳介前小孔に加えて、外耳に関しては耳介低位のことがあり、外耳道閉鎖のこともあり聴力は非常に低い。特徴的な顔貌は、眼瞼裂斜下、内眼角贅皮、眼間開離、平らな鼻梁と小下顎である。口唇口蓋裂(この用語を参照)がときに認められる。一部の人では、肛門管狭窄または欠損を呈し、直腸から異常部位(膀胱、腟、または会陰)への瘻孔がある。最も頻繁に報告されている先天性心疾患は、先天性の総肺静脈還流異常症と、それより頻度は下がるがファロー四徴症(tetralogy of Fallot)である(これらの用語を参照)。腎臓の先天異常としては、片側または両側腎の欠損、水腎症、過剰腎、腎低形成などがみられる。骨格異常としては、脊椎欠損や四肢奇形などがある。起こりうる消化管奇形として、胆道閉鎖症、腸回転異常症、ヒルシュスプルング病(Hirschsprung disease)(この用語を参照)などがある。他の一定しない特徴として、男性におけるヘルニア、停留精巣、尿道下裂などがある。よりまれな奇形がほぼ全ての臓器に起こりうる。多くの患者は軽度の知的障害を有するが(一部に中程度から重度の場合もある)、少数ながら正常な認知発達がみられる患者もいる。一部の症例では、成長ホルモン欠乏症による低身長も可能性がある。

病因

大部分の患者で、22pter-22q11の部分テトラソミーをもたらす、両側に付随体をもつ小さな過剰マーカー染色体(small supernumerary bisatellited marker chromosome:sSMC)がみられる。3分の1の症例では、この過剰染色体がモザイク状態で存在する。その他の細胞遺伝学的異常としては、22番染色体の部分トリソミーや22q11領域の染色体内三重複(intrachromosomal triplication)がまれに報告されている。

診断方法

診断は臨床症状から疑われ、22q11領域由来の過剰染色体の存在を示す細胞遺伝学的検査に基づいて行われる。低頻度のモザイク現象を検出するには、特定のプローブを用いた蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)が必要である。

鑑別診断

鑑別診断には、CHARGE症候群やVACTERL/VATER連合など、表現型が重複する他の染色体異常が含まれる(これらの用語を参照)。

出生前診断

出生前診断は、出生前検体の核型分析およびFISH分析によって可能である。

遺伝カウンセリング

過剰染色体は通常、新生変異で生じる。

管理および治療

集学的管理が必要であり、その方針は各患者にみられる具体的な症状によって決まる。鎖肛および重度の心奇形には外科的矯正が必要である。細菌感染が予想されるため、積極的に治療されるべきである。視覚障害および聴覚障害についてスクリーニングを行うべきである。教育的支援による早期介入が有益となりうる。

予後

乳児期初期に重度の奇形で亡くなる患者もいる。そうでなければ、平均余命は一般的に有意に短縮しない。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Catherine TURLEAU
日本語翻訳版の監訳
倉橋 浩樹(難治性疾患政策研究班「染色体微細欠失重複症候群の包括的診療体制の構築」)、岸野 洋祐(藤田医科大学大学院保健学研究科臨床検査学領域遺伝カウンセリング分野)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Cateyeshokogun_JP_ja_PRO_ORPHA195.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=195

最終更新日:2016年1月
翻訳日:2019年4月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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