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眼-耳-脊椎スペクトラムOculo-auriculo-vertebral spectrum

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA141132]
まれな先天異常症候群であり、耳および/または眼の形態異常を伴う半側小顔面症(hemifacial microsomia)と、さまざまな重症度の脊椎奇形を呈することが最も多い。さらに心臓、腎臓、中枢神経、消化器、骨格にも形態異常を伴うことがある。

病気・治療解説

疫学

欧州では出生時の有病率が1/26,000未満であり、男児にやや多い。

臨床像

表現型のスペクトラムには、体の他部位の形態異常を伴わない軽度の顔面非対称性から、重度の両側性小頭蓋顔面症(craniofacial microsomia)とそれに伴う多発性の頭蓋外異常までの幅がある。頭蓋顔面異常は典型的には片側性であり、最も一般的な臨床像は、耳介異常、耳前部の付属物および/または瘻孔、下顎、上顎、頬骨および/または頬骨弓の低形成、ならびに前眼部デルモイドである。下顎および上顎の低形成による気道閉塞は、生命を脅かす可能性がある。耳介異常は通常片側性で、小耳症、耳の位置異常、外耳道の閉鎖または狭窄などがあり、難聴を伴うこともある。眼球の異常は、上眼瞼コロボーマをはじめ、重症例では小/無眼球症を呈することもある。顔面神経麻痺、非対称性の口蓋挙上、外眼筋運動障害、および三叉神経支配領域の感覚脱失が報告されている。ファロー四徴症、中隔欠損症、大血管転位症、大動脈弓異常、内臓逆位、右胸心などの先天性心疾患もまれではない。その他の特徴として、腎臓(片側性腎無形成、重複尿管、異所性腎、水腎症、水尿管)および中枢神経系(発達遅滞、小頭症、脳ヘルニア、水頭症、脳梁形成不全症、アーノルド-キアリ奇形、全前脳胞症)の異常などがみられる場合もある。知能は典型的には正常である。

病因

病因はあまり解明されていないが、不均一かつ多因子性と考えられている。数例のまれな症例においてMYT1遺伝子(20q13.33)の関与が示唆されており、本病態に付随する先天形態異常の一部には染色体異常との関連が認められている。

診断方法

診断は臨床所見に基づく。小耳症および/または下顎低形成とそれに伴う耳前部の付属物が診断に有用な所見として提唱されているが、最低限の診断基準について確立されたガイドラインはない。

鑑別診断

鑑別診断として、小耳症と下顎低形成を伴う症候群(Treacher Collins症候群、Townes-Brocks症候群、CHARGE症候群、鰓弓耳腎スペクトラム障害[branchio-oto-renal spectrum disorders]、小頭症を伴う下顎顔面異骨症、Wildervanck症候群など)などがある。

出生前診断

小頭蓋顔面症(craniofacial microsomia)の出生前診断は一般的ではない。家族歴がある場合は、非侵襲的な出生前診断が勧められる。胎児超音波検査で重度の頭蓋外奇形および一部の重度の下顎低形成を検出できるが、3D超音波検査を施行すれば異常がより軽度の症例も同定できることがある。

遺伝カウンセリング

本疾患は通常、家族歴がないが、常染色体優性遺伝形式で発症した報告もある。再発リスクを評価するために、両親および同胞の臨床像を評価すべきである。本疾患は表現型が不均一であるため、子供の重症度を予測することは困難である。家族歴および染色体異常がない場合、同胞の再発リスクは2~3%と推定されている。

管理および治療

治療は集学的に行い、患者の年齢に応じていくつかの段階に分け、認められる異常の程度および重症度に応じて調整すべきである。骨格、腎臓、心臓、歯、耳の病変に対する詳細な評価が必須である。気道閉塞や頭蓋外形態異常には迅速な治療を要する場合がある。形態異常の矯正には通常、複数の段階に分けた統合的かつ長期的な治療計画を要する。顔面非対称に対する手術は、顎関節の形成不全/低形成のために複雑になることがある。下顎矯正の時期および最も効果的な介入については、依然として議論がある。現在では専門家の多くが、可能である場合は顔面の成長が終わった後に介入することにより、再発や複数回の手術を回避することを提唱している。

予後

予後は、異常の複雑さのみならず、診断および介入のタイミングによっても異なる。長期予後を予測するのは困難な場合がある。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Daniela LUQUETTI
Dr Carrie HEIKE
日本語翻訳版の監訳
小崎 健次郎(IRUD臨床専門分科会 小児科(先天異常) チーフ/慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター 教授)

日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Oculo-auriculo-vertebral_spectrum_JP_ja_PRO_141132.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=en&Expert=141132

最終更新日:2020年3月
翻訳日:2022年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行わ れています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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