CFCしょうこうぐんCFC症候群Cardiofaciocutaneous syndrome
小児慢性疾患分類
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Orpha番号:ORPHA1340]
頭蓋顔面形態異常、先天性心疾患、皮膚の異常(最も一般的には角化した皮膚とまばらな巻き毛)、神経学的症候(筋緊張低下、痙攣発作)、発育不良、および知的障害を特徴とする、まれな多発性先天異常症候群である。
病気・治療解説
疫学
現在までに約300例が文献で公表されている。有病率は日本において1/810,000と推定されている。しかしながら、有病率はこれより高いと考えられている。
臨床像
CFC(cardiofaciocutaneous)症候群は表現型に大きなばらつきがある。羊水過多がしばしば報告される。新生児には出生時から相対的大頭症、短い翼状頸、および特徴的顔貌(すなわち、大きな額、耳介低位、眼瞼下垂、眼瞼裂斜下、内眼角贅皮、低い鼻梁をもつ短い鼻、突出した人中、高口蓋、厚い下唇)がみられる。心臓の異常が存在する場合、当初は診断されないことがあるが、具体的には肺動脈弁狭窄症、心房中隔欠損症、肥大型心筋症などが生じうる。発育不良につながる哺乳困難、胃食道逆流、嘔吐、および便秘がしばしば乳児期にみられるが、小児期には改善する。低身長につながる発育不全は、ときに成長ホルモンの欠乏が原因であることがある。皮膚症状としては、まばらで細い巻き毛、乾燥を伴う異常角化および弾力があり伸びやすい皮膚(上肢、下肢、顔面)、全身の色素沈着、進行性に形成される母斑、魚鱗癬、掌蹠角化症、カフェオレ斑、リンパ浮腫、血管腫などがある。重度の湿疹病変がしばしばみられる。眼間開離、斜視、眼振、視神経低形成、および乱視により視覚障害や視力低下を来す可能性がある。反復性中耳炎も報告されている。神経学的異常(筋緊張低下、学習障害、および発達遅滞[主に運動と発話])が全ての患児にみられる。50%の症例では、痙攣発作もみられることがある。
病因
CFC症候群はRASopathyの一種と考えられており、4つの遺伝子(BRAF[7q34][CFC症例の75%]、MAP2K1[15q22.1-q22.33]、MAP2K2[19p13.3]、KRAS[12p12.1])のいずれかの変異に起因し、これらの遺伝子はRAS/MAPK(mitogen-activated protein kinase)シグナル伝達経路を構成するタンパク質をコードしている。このシグナル伝達経路は細胞の分化、増殖、遊走、およびアポトーシスの調節に関与している。
診断方法
臨床診断は主に、特徴的な臨床症状の存在および頻度と孤発例であるかどうかに基づく。分子遺伝学的検査が望ましく、RASopathyの既知の全ての遺伝子を含めた遺伝子パネル検査が特に望ましい。そのような検査ができない場合は、BRAFから開始する逐次的な遺伝子検査が推奨される(エクソン6、12、11の変異が最もよくみられる)。
鑑別診断
鑑別診断にはコステロ症候群(Costello syndrome:CS)とヌーナン症候群(Noonan syndrome)が含まれ、これらはCFC症候群と表現型が重複する。CFC症候群はCSとは異なり、悪性腫瘍のリスクは増大しないとみられている。
出生前診断
変異が判明している家系では出生前検査が可能である。
遺伝カウンセリング
現在までに報告されている真の症例は全て顕性(優性)のde novo変異によるものである。本疾患は孤発性であることから、同胞の再発リスクは非常に低い。
管理および治療
管理には集学的チームが必要である。乳児に重度の胃食道逆流がみられる場合は、経鼻胃管または胃瘻管による栄養かNissen噴門形成術が必要になることがある。心臓専門医によるモニタリングが必要であり、特定の異常を修復するために心臓手術が必要になることがある。痙攣発作がみられる患者には、神経科医によるモニタリングが必要である。定期的な眼科診察と矯正レンズの装用または手術により、視力を改善することができる。皮膚の病態に対する標準治療が推奨される。内分泌科医への紹介も必要になる場合がある。早期に作業療法、理学療法、および/または言語療法を開始すれば、運動および言語発達が促進される。
予後
予後は非常に多様であり、臨床像に依存する。平均余命は健常者に近い水準の場合もあれば、短い場合(重度の心症候または神経症候がある場合)もある。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Pr Maria Ines KAVAMURA
日本語翻訳版の監訳
青木 洋子(IRUD 臨床専門分科会 臨床遺伝委員/東北大学大学院医学系研究科遺伝医療学分野 教授)
日本語版URL
http://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Cardiofaciocutaneous_syndrome_JP_ja_ORPHA1340.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/1340
最終更新日:2020年10月
翻訳日:2024年3月
本要約の翻訳は、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)臨床専門分科会に所属される専門医や、その他の希少疾患専門医のご協力の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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