おろとさんにょうしょうオロト酸尿症Orotic aciduria
小児慢性疾患分類
- 疾患群8
- 先天性代謝異常
- 大分類9
- プリンピリミジン代謝異常症
- 細分類118
- オロト酸尿症
病気・治療解説
概要
ピリミジン合成系にけるウリジン1リン酸合成酵素の先天的な機能低下により生じる疾患である。この酵素はオロット酸ホスホリボシルトランスフェラーゼとオロチジン5′-リン酸脱炭酸酵素の両活性を有するため、尿中オロト酸の増加、尿中オロチジンの増加、ウリジン1リン酸の産生低下が認められる1)。
疫学
極めてまれな疾患で、日本では2家系の報告があるのみ2,3)。
病因
常染色体劣性遺伝形式を示す先天代謝異常症の一種である。
症状
ウリジン1リン酸の産生低下による骨髄細胞、神経細胞の機能障害などから、巨赤芽球性貧血、小球性低色素性貧血。変形赤血球症、精神発達遅滞などの症状を呈する。尿中オロト酸が著増するため、オロト酸が析出して尿路結石を形成する場合もある。
診断
『診断の手引き』参照
治療
ウリジン投与 (100~300㎎/㎏/日) によりピリミジン欠乏が是正され貧血が改善するとともに、フィードバック機構によってオロト酸濃度の低下も期待できる1)。治療例ではウリジン投与開始後1~2週で貧血の改善がみられ、1か月ほどでヘモグロビン値が正常となったと報告されている4)。
予後
ウリジン反応例では比較的良好。
成人期以降
症例数が限られるため詳細は不明であるが、継続的なウリジン投与が必要であろう。
参考文献
1)Webster DR et al.: Hereditary orotic aciduria and other disorders of pyrimidine metabolism, In: Scriber CR, et al(eds), The metabolic &molecular bases of inherited disease, McGraw-Hill, New York, 2001; 2663-6702
2) Sumi S et al.: Pyrimidine metabolism in hereditary orotic aciduria. J Inhrit Metab Dis 1997; 20 104-105
3) Imaeda M et al.: Hereditary orotic aciduria heterozygotes accompanied with neurological symptoms. Tohoku J Exp Med 1998; 185 67-70
4) 鷲見聡: 先天性オロット酸尿症 別冊日本臨床新領域別症候群シリーズ19 先天代謝異常症候群(第2版)上2012:609-612
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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