しんきんこうそく心筋梗塞Myocardial infarction
小児慢性疾患分類
- 疾患群4
- 慢性心疾患
- 大分類28
- 虚血性心疾患
- 細分類35
- 心筋梗塞
病気・治療解説
概要
心筋梗塞は、急激な冠動脈血流の減少により心筋壊死にいたる病態である。胸部不快感、ショックなど症状を呈する場合と、無症候性の場合がある。心筋逸脱酵素の上昇、心電図での経時的変化がある。造影検査(カテーテル、CTなど)で冠動脈狭窄、閉塞の所見がある。心筋シンチグラムで心筋血流が低下し再灌流が無い。発症早期なら、冠動脈血栓溶解療法、カテーテルで冠動脈拡張をおこなう。その後の慢性期には、病態と適応に応じて、薬物治療、冠動脈のカテーテル治療、バイパス手術、心不全治療などを行うことがある。
病因
小児では動脈硬化、粥状硬化に起因するのは非常に稀である。川崎病、冠動脈狭窄、冠動脈起始異常(特に左冠動脈の右冠尖からの起始)、冠動静脈瘻などの冠動脈異常に起因する
病因
小児期では冠動脈の先天性異常か、川崎病冠動脈合併による。
前者は先天性である
疫学
稀であるが、正確な頻度は不明
臨床症状
胸部不快感、ショックなど。無症候性のことがある
診断
[心電図 ]
初期にST上昇、後に異常Q波を認め、経時的に変化していく。その変化領域は通常は冠動脈支配領域と一致する。
【胸部エックス線所見】
特に所見はない。
【心エコー検査】冠動脈支配領域に見合った心筋の運動低下をみる。時に、僧帽弁閉鎖不全を合併する。
【心臓カテーテル・造影所見】
冠動脈造影で冠動脈狭窄または途絶が証明される
確定診断
胸部不快感、ショック、循環不全を呈すること、心電図でST上昇、異常Q波などの経時的変化が存在すること、心筋逸脱酵素の上昇があること。冠動脈造影で冠動脈途絶・狭窄が証明されれば診断は確定するが、冠動脈造影時には冠動脈は正常化していることがまれにある。
診断手段は、心臓カテーテル検査、心電図、冠動脈CT、冠動脈MRI、血液検査(心筋逸脱酵素異常高値)など。
治療
冠動脈のカテーテル治療かバイパス手術を行う。
川崎病では、日本循環器学会にガイドライン(川崎病心臓血管後遺症の診断治療に関するガイドライン)を参考にして行う (http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_ogawas_h.pdf)。
予後
予後不良である。突然死の危険性がある
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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