むこたとうしょうよんがたムコ多糖症Ⅳ型Mucopolysaccharidosis
小児慢性疾患分類
- 疾患群8
- 先天性代謝異常
- 大分類6
- ライソゾーム病
- 細分類78
- ムコ多糖症Ⅳ型
病気・治療解説
概要
Morquio 症候群(ムコ多糖症IV型)は、短胴性低身長、X脚、手関節弛緩、角膜混濁、弁膜症、尿中ケラタン硫酸(KS)・コンドロイチン硫酸(CS)の排泄増加を特徴とする常染色体劣性遺伝病である。本症はN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸サルファターゼ(GALNS)の欠損を原因とするA型と、βガラクトシダーゼの欠損を原因とするB型に分類されるが、A型が大半を占める。GALNSの欠損によりKSとCSの分解が阻害され、骨や角膜などのライソゾームに蓄積する
疫学
発症率は出生約50万人(日本)に1人と報告されている。
病因
ライソゾーム内でケラタン硫酸を分解するために必要なN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸サルファターゼ(GALNS)またはβガラクトシダーゼの欠損が原因で、KSが過剰蓄積するために、全身骨が変形する。
症状
以下の症状を認める。
① 骨・関節障害:出生時には明らかな異常を認めないが、2~3歳までに短胴型小人症、鳩胸、下部肋骨の拡張、脊椎後弯(突背)、脊椎側弯、外反膝(X脚)、関節過伸展などが認められるようになる。レントゲンでは椎体扁平化、第2頸椎歯突起低形成、肋骨扁平化、股関節異常などが認められる。靱帯弛緩のために手首の力や握力が非常に弱く、着衣・整容・書字などに困難をきたす。動揺性歩行も特徴的である。歯突起低形成のために環軸椎脱臼・亜脱臼、頚髄圧迫を生じやすく、四肢麻痺にいたる例も多い。転倒や頸部の無理な伸展を契機に突然死する可能性もある。重症例では7〜8歳頃に成長が停止し、平均最終身長は110〜120cmである。
② 気道障害:胸郭変形による拘束性肺障害、ムコ多糖の蓄積による閉塞性肺障害、気管軟化、巨舌、アデノイド・扁桃肥大、声帯肥厚などが認められる。睡眠時無呼吸、いびき、日中の傾眠傾向、呼吸音の増強、肺胞低換気、発声障害などをきたす。
③ 歯科的異常:歯は小さく、歯間が広く、エナメル質は菲薄で齲蝕を生じやすい。
④ 眼科的異常:角膜に微細な混濁を認める。
⑤ 聴力障害:軽度から中等度の混合性難聴を認める。
⑥ 循環器障害:心弁膜症を認める。
⑦ 知能:正常である。
診断
ムコ多糖の過剰蓄積は、尿中ムコ多糖の定量で判定する。尿中ムコ多糖の分画から、病型をある程度予測できるが、最終的には、血液あるいは培養皮膚線維芽細胞などで酵素活性の低下を証明し確定診断とする。遺伝子診断は、診断を確定するのに必須ではないが重症度の予後判定や家族内の保因者診断や発端者の同胞の出生前診断には有用である。
① 画像診断:椎体の扁平化、第2頸椎歯突起低形成
② 尿中ウロン酸(グリコサミノグリカン):総量の増加は軽微なので、KSの増加を確認する。
③ GALNS活性:白血球、線維芽細胞などにおけるGALNS活性の低下を証明する。
④ 遺伝子解析:GALNS遺伝子変異
治療
IV型に対する酵素補充療法が2014年にわが国で承認された。
予後
進行性で致死性の重篤な疾患である。
成人期以降
進行性疾患のため成人期には特に重症化する。酵素補充療法も病態の進行を完全に阻止することはできない。
参考文献
進行性で致死性の重篤な疾患である。
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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