ずいまくのうりゅう髄膜脳瘤meningoencephalocele
小児慢性疾患分類
- 疾患群11
- 神経・筋疾患
- 大分類1
- 脊髄髄膜瘤
- 細分類1
- 髄膜脳瘤
病気・治療解説
概要
神経管の閉鎖不全によって頭蓋骨に欠損が生じたものを二分頭蓋といい、この頭蓋欠損部から頭蓋内容の一部が頭蓋外へ脱出し嚢胞を形成したものを脳瘤と呼ぶ。脱出した内容物に脳組織が含まれているものを髄膜脳瘤(meningoencephalocle)、脱出した内容物に脳組織が含まれず髄膜や髄液のみであれば髄膜瘤(cranial meningocele)と分類する。しかし、組織学的な検索では後者でも瘤内には脳組織を認めるため、組織学的には厳密に鑑別できない。頭蓋の欠損は正中部に発生しやすい。約90%は頭蓋円蓋部、残り約10 %は頭蓋底部に発生し、全体の2/3は後頭部に発生し、円蓋部や鼻腔前頭部に発生する髄膜脳瘤は外表上で瘤を認めやすいが、篩骨洞、蝶形骨洞部など鼻腔や副鼻腔内に発生するものは外表上には瘤を認めない。まれに後頭・頚椎移行部に発生し頚椎椎弓欠損を呈する後頭孔脳脱出(後頭部と背部が癒合して頚部が背側に過伸展する)やChiari III型奇形(脳幹や小脳の脱出)を呈することがある。
後頭部に発生する髄膜脳瘤には、小脳虫部欠損(Dandy-Walker症候群)や他の脳形成異常を合併しやすく、脳組織の一部が頭蓋外へ脱出するため小頭症を呈する例が多い。一方、約30%の例に水頭症を合併する。脳の形成異常、大きな脳組織の脱出、水頭症などは発達や知能面での予後不良因子である。頭蓋底部脳瘤では、閉塞性の呼吸障害、髄液漏による反復性の髄膜炎などを呈する。瘤が破れて細菌感染をきたすため外科的に瘤を修復し、水頭症を合併すれば髄液シャントを施行し、てんかん発作を合併すれば薬物治療を行う。後頭孔脳脱出やChiari III型奇形の生命予後は不良である。
発生頻度は国、地域によって大きく異なり、日本での発生頻度は高くなく、1~2/10000と脊髄髄膜瘤の1/5~1/10である。後頭部に発生する例は女児に多い。髄膜脳瘤の発生機序は従来神経管閉鎖障害と考えられてきたが、最近では神経管閉鎖後に脳組織の周囲の間葉組織の発生異常が原因と考えられるようになった。しかしながら、従来の考えに従い神経管閉鎖障害の疾患の範疇に分類されることが多い。
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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