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しぼういしゅくせいとうにょうびょう
脂肪萎縮性糖尿病lipoatrophic diabetes

小児慢性疾患分類

疾患群7
糖尿病
大分類1
糖尿病
細分類6
脂肪萎縮性糖尿病

病気・治療解説

概要

脂肪萎縮症は、全身あるいは部分的に脂肪組織が減少、あるいは消失する疾患である。高頻度にインスリン抵抗性糖尿病、高トリグリド血症、脂肪肝等の糖脂質代謝異常を認める。

疫学

発症頻度は、約100万人に1人といわれる。

病因

脂肪組織の消失の病因としては、遺伝子異常、自己免疫、ウイルス感染、薬剤などが挙げられる。脂肪萎縮症に起因する糖脂質代謝異常の主たる原因が、脂肪組織から分泌されるレプチンの欠乏によることが示された。レプチン補充療法の治療効果が示された。

症状

全身性あるいは部分性の脂肪萎縮(やせ)を呈する。
先天性全身性脂肪萎縮症では、生下時より全身性の脂肪組織消失と肝腫大を認める。黒色表皮腫を認め、10歳前後で糖尿病が顕在化する。女性症例では多毛症や月経異常を認める。高頻度に多嚢胞性卵巣を発症する。
後天性全身性脂肪萎縮症では、小児期より脂肪組織消失を認めることが多い。重症の脂肪肝や糖尿病、高トリグリセリド血症を合併することが多い。

診断

糖尿病と診断されたもののうち、
1) 脂肪萎縮症を伴うもの:脂肪萎縮症は、先天的あるいは後天的に、脂肪組織が全身あるいは部分的に消失する疾患である。脂肪組織の減少が認められても、低栄養や消耗性疾患等がある場合は、除外される。
2) インスリン抵抗性を認める。
3) 血中レプチン濃度が低値を示す。
4) 遺伝子診断:AGPAT2(1-acyl-sn-glycerol 3-phosphate O-acyltransferase 2)遺伝子、セイピン遺伝子、カベオリン1 遺伝子、およびPTRF(Polymerase I and transcript release factor)遺伝子、などの遺伝子異常を同定することでも確定診断できる。

治療

レプチン補充療法の治療効果が示され、2013年にメトレレプチン注射が保険承認された。メトレレプチンとして、男性には0.04㎎/kg、18歳未満の女性には0.06mg/kg、18歳以上の女性には0.08mg/kgを1日1回皮下注射する。
投与はそれぞれ0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kgから投与開始し、1ヶ月程度をかけて、前記投与量まで増量する。

予後

従来、糖尿病は難治であったが、レプチン補充療法の劇的な治療効果が示されている。

文献

1) 中尾一和(編集)、最新内分泌代謝学、2013、pp. 455-459、診断と治療社
2) 松沢佑次(監修)、中尾一和(編集)、レプチンのトランスレーショナルサイエンス、2012、診断と治療社

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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