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りぱーぜけっそんしょう
リパーゼ欠損症lipase deficiency

小児慢性疾患分類

疾患群12
慢性消化器疾患
大分類1
難治性下痢症
細分類6
リパーゼ欠損症

病気・治療解説

概要

先天性のリパーゼ欠損症は、1964年にSheldonが2家系4症例について最初に報告した。先天的に膵リパーゼのみが欠損しており、生後間もなく脂肪吸収障害により重篤な脂肪便を呈する。通常、リパーゼの補酵素であるコリパーゼは正常であるが、両酵素を同時に欠損した症例も報告されている。

病因

リパーゼは中性脂肪のα-脂肪酸エステルを加水分解し、脂肪酸とグリセロールにする酵素である。血中リパーゼ値は生後6か月までの乳児では成人基準値の下限を下回り、以後次第に上昇し、2~5歳で成人値の2/3程度の値を示す。本症の膵リパーゼの欠損は、酵素蛋白の変質による活性欠如ではなく、先天的な酵素蛋白の合成欠如が原因である。遺伝形式は同胞発症が認められることより、常染色体劣性遺伝であると考えられている。膵リパーゼをエンコードする PNLIP [pancreatic lipase] 遺伝子は10番染色体(10q26.1)に存在し、13エクソンからなる20kb長の遺伝子で、465個のアミノ酸から構成されている。

症状

生後まもなくあるいは乳幼児期から認める脂肪性下痢、幼児期以降には便失禁をともなうことがある。栄養障害・発達障害が認められないことから本症を疑う。脂肪吸収障害による脂肪性下痢がみられるが、胃液の脂肪分解作用、膵液中エラスターゼの代償的作用、また、唾液腺、胃、小腸からのリパーゼ作用により食物中の脂肪の約50%は消化吸収される。このように膵液中のリパーゼ欠損にもかかわらず、脂肪の消化能が廃絶しているわけではなく、Shwachman症候群や嚢胞性線維症と比較し、重篤な発育障害や呼吸器感染症は認めない。

診断

十二指腸液採取によりリパーゼ活性を測定し、正常と比して著しく低値か欠損していることを証明する

治療と予後、成人以降の注意点

過剰な脂肪摂取を避けるよう指導し、脂肪性下痢をコントロールする。膵酵素剤(高力価パンクレアチン製剤(リパクレオン®)など)の投与、中鎖脂肪酸(MCT)ミルクの投与により脂肪便の改善を認め、予後は良好である。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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