はっけっきゅうせっちゃくふぜんしょう白血球接着不全症leukocyte adhesion deficiency; LAD
小児慢性疾患分類
- 疾患群10
- 免疫疾患
- 大分類5
- 原発性食細胞機能不全症および欠損症
- 細分類38
- 白血球接着不全症
病気・治療解説
概要
白血球における接着分子である2インテグリンやセレクチンリガンドの発現異常により発症する疾患。接着分子の異常により感染部位への白血球浸潤が不能となり、感染症が遷延する。細菌、真菌による難治性皮膚炎、中耳炎、副鼻腔炎を発症する。治療は軽度から中程度であれば抗菌剤等の対処療法を行うが、重症の場合は造血幹細胞移植が適応となる。常染色体劣性遺伝。
病因、遺伝子
LADは欠損する分子により以下の3つに分類される。
・ LAD-I:CD18を含むβ2インテグリンの欠損であり、INTGB2変異が原因である。フローサイトメトリーでのCD18、CD11の欠損により診断される。
・ LAD-II:セレクチンリガンドのフコシル化炭水化物欠損による欠損による接着障害であり、GDP-fucose transporter(FUCT1)変異が原因である。
・ LAD-III:βインテグリン(1,2,3)の活性化障害であり、KINDLIN3(FERMT3)変異が原因である。
疫学
LADは常染色体劣性遺伝形式をとり、極めて稀な疾患である。欧米ではLAD-Iの推定有病率は10万人に1人と言われている
臨床症状
LAD-Iは重症細菌感染の反復、臍帯脱落遅延、非化膿性の皮膚感染症、白血球異常高値、創傷の治癒遅延、歯肉炎などを発症する。なお、CD18の発現率によって、その表現系は重症型(2%以下)と軽度〜中等症型(2〜30%の発現)に分類される。LAD-IIはLAD-Iに比べ重症度は低く、生命予後には直結はしない。成人期の歯周炎がその主体となる。時に精神発達遅延が認められることもある。LAD-IIIは白血球と血小板の異常からLAD-Iの症状に加え、出血症状を呈する
治療
LAD-Iの治療はその重症度による。軽症〜中等症型では対症療法としての抗生剤投与であり、重症型では造血幹細胞移植が必要となる。LAD-IIは、感染症に対する抗菌薬投与は有効であるが、歯周炎は難治である。LAD-IIIは造血幹細胞移植が唯一の治療と考えられている
合併症
LAD-IIで精神発達遅滞、LAD-IIIで出血症状を伴う
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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