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くらっべびょう
クラッベ(Krabbe)病Krabbe disease

小児慢性疾患分類

疾患群8
先天性代謝異常
大分類6
ライソゾーム病
細分類92
クラッベ(Krabbe)病

病気・治療解説

概要

クラッベ病(Krabbe disease)は、グロボイド細胞白質ジストロフィー(globoid-cell leukodystrophy; GLD)ともよばれ、ガラクトセレブロシダーゼの欠損により、中枢の神経線維を形成するオリゴデンドログリアと末梢の神経線維を形成するシュワン細胞の障害から脱随(髄鞘、ミエリンの破壊)を引き起こし、中枢神経障害と末梢神経障害をきたす常染色体劣性遺伝性疾患である。また、ガラクトセレブロシダーゼのおもな基質であるガラクトセレブロシドは蓄積しないが、微量な基質のサイコシンが蓄積することにより、細胞障害を引き起こすと考えられている。

疫学

非常に稀で10-20万人に1人と言われている。

病因

ライソゾーム酵素の一つであるガラクトセレブロシダーゼ(GALC)の遺伝子変異により、酵素活性が低下し、サイコシンの蓄積を生じる。それにより、中枢神経のオリゴデンドログリアおよび末梢神経のシュワン細胞を障害し、脱随を引き起こし、中枢神経障害と末梢神経障害を呈する。

症状

発症年齢で下記のように4つに分類される。
① 乳児型:生後6ヶ月までに哺乳不良、易刺激性や首が座らないなどの症状で発症し、急速に進行し、1歳までに寝たきりとなり、2,3歳で死亡することが多い。
② 後期乳児型:生後7ヶ月から3歳で発症し、易刺激性、精神運動発達遅滞、退行を認める。
③ 若年型:4から8歳で失調、歩行障害、視力障害を認め、緩徐に進行する。
④ 成人型:9歳以降に精神症状などで発症し、5から10年の経過で歩行障害、認知障害、視力障害などを認め、緩徐に進行する。

診断

『診断の手引き』参照

治療

根本的治療として、発症早期の造血幹細胞移植は有効であるが、適応に関しては慎重に検討すべきである。その他は、対症療法が中心で、抗痙攣薬、経管栄養や人工呼吸管理が必要となることがある。

予後

病型により様々で、乳児型は2, 3歳までに寝たきりとなるが、若年型や成人型は緩徐に進行する。
成人期以降
病型や造血幹細胞移植の施行の有無によりかなり異なるが、対症療法の中でも胃食道逆流症に対する噴門形成術や胃瘻造設術、呼吸障害に対する気管切開、喉頭分離術や声門閉鎖術などの外科的治療の適応は慎重に検討すべきである。
また、成人型では、歩行障害のみで発症する例もあり、進行も緩徐なため、診断に時間がかかり注意を要する。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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