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いんすりんようせいちょういんしいちふおうしょう
インスリン様成長因子1(IGF-1)不応症IGF1 insensitivity

小児慢性疾患分類

疾患群5
内分泌疾患
大分類5
成長ホルモン不応性症候群
細分類7
インスリン様成長因子1(IGF-1)不応症

病気・治療解説

概念

成長ホルモン(GH)の作用を仲介するインスリン様成長因子1(IGF1)(従来はソマトメジンC)の受容体あるいはそれ以降の障害により、胎内発育遅延と低身長をきたす疾患。

病因

現在報告されているのは IGF1受容体遺伝子異常のみである。IGF1受容体遺伝子を欠失したマウスは、胎内発育遅延を認め、生下時に呼吸できずに死亡することが報告され、ヒトにおいて small for gestational age (SGA) 児の中に IGF1受容体遺伝子異常が存在するのではないかと考えられていた。SGAを呈した低身長症の中に IGF1受容体遺伝子変異の症例が報告された。現在、エクソン2の Arg108Gln と Lysll5Asn の変異の複合型的ヘテロ接合体、エクソン2のナンセンス変異 (Arg59stop) ヘテロ接合体、プロレセプターの切断部位の変異 (Arg709Gln) のヘテロ接合体などが報告されている。また、 IGF1受容体遺伝子を1コピー欠失した症例も報告されている。

疫学

世界初例の報告が2003年と最近のため希な疾患で、本邦での報告は現在10例程度と極めて報告数が少ない。症状の軽度な症例も多いため、今後 IGF1受容体遺伝子解析の広がりとともに症例が増える可能性がある。

臨床症状

IGF1作用の低下が胎内から存在するためSGAを呈し、生後の成長障害を認める。理論的にはIGF1抵抗性を来し、GH抵抗性を来すと考えられ、血中IGF-I、 IGFBP-3、 ALS、 GHが高値を呈すと考えられるが、報告ではこれらの検査値のいくつかが正常である症例が多い.。 SGA、低身長、骨成熟の遅延を呈するが、 IGF1遺伝子異常に比べて重篤ではない。また、IGF1遺伝子異常と同様に小頭症、精神発達遅滞を認める症例もある。二次性徴の遅延は報告されていない。
現在、SGA性低身長児にGH治療が行われているが、本症では一般にGH治療の効果はないかあるいは不十分である。

診断

SGAで出生した低身長症で、血中IGF1が高値あるいはGH分泌が増加している症例で考慮される。また、GH治療中のSGA生低身長児で、GH治療の効果が不十分な場合も本症の可能性がある。確定診断は遺伝子診断による.。

治療

IGF1抵抗性により、二次的な GH抵抗性を来すと考えられるので、理論的には GH あるいは IGF1治療は効果がないと考えられる。しかし、ある程度変異 IGF1受容体の機能が残存している症例では、高用量の GH治療に反応を示し、低身長の改善が見られることがある。

予後

症例が極めて少なく、2003年に確立した疾患のため、予後に関する十分な資料は得られていない。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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