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こうぷろりんけっしょう
高プロリン血症Hyperprolinemia

小児慢性疾患分類

疾患群8
先天性代謝異常
大分類1
アミノ酸代謝異常症
細分類5
高プロリン血症

病気・治療解説

概要

高プロリン血症は1型と2型の2つに分類されている。1型はプロリン酸化酵素の異常、2型はP5C (pyrroline-5-carboxylic acid)脱水素酵素の異常によって発症する。いずれも常染色体劣性遺伝性であり、血中のプロリンが上昇する。

疫学

不明である。日本人における典型例は数名報告されている。

病因

プロリンはミトコンドリア膜に存在するプロリン酸化酵素によって酸化されており、その結果P5Cが生成される。高プロリン血症1型では、このプロリン分解の最初の段階が障害されている。一方、高プロリン血症2型ではP5CがP5C脱水素酵素によってグルタミン酸へ代謝される経路が障害される。

症状

1型高プロリン血症の症状は報告によって一定していない。難治性のけいれんや精神発達の遅れを示す症例があるが、臨床症状を全く示さない症例の報告もある。2型高プロリン血症でも難治性のけいれんや精神発達の遅れを示す症例や臨床症状を全く示さない症例の報告がある。
精神発達遅滞、てんかんが主な合併症である。また、統合失調症と血中プロリン高値との相関が指摘されている。さらに22q11.2 欠失症候群において、プロリン酸化酵素遺伝子領域も含まれるため、血中プロリン値高値をきたし、22q11.2欠失症候群の臨床像に影響を与えている可能 性がある。

診断

『診断の手引き』参照

治療

プロリン制限食が試みられているが、効果は不明である。臨床症状とプロリン代謝との関連が不明であること、特に血中プロリン値と臨床症状の関係が明らかでないことから、食事療法は必要ないとする意見が多い。

成人期以降

精神発達遅滞、てんかんや統合失調症などとの関連が指摘されているが、症例が少なく不明確な点が多い。

参考文献

1. 高プロリン血症Ⅰ型(プロリン酸化酵素欠損症) 三渕浩 中村公俊 遠藤文夫 先天代謝異常症候群 別冊日本臨床 新領域別症候群19 (第2版) 177-181日本臨床社 (2012)

2.  高プロリン血症Ⅱ型(Δ1-pyrroline-5-carboxylate脱水素酵素欠損症) 三渕浩 中村公俊 遠藤文夫 先天代謝異常症候群 別冊日本臨床 新領域別症候群19 (第2版) 182-185日本臨床社 (2012)

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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