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高メチオニン血症Hypermethioninemia

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病気・治療解説

概要

メチオニンアデノシルトランスフェラーゼの遺伝的欠損による持続性の血中メチオニン単独の上昇を認める。常染色体優性遺伝(AD)する病型は血中メチオニン濃度が10mg/dl以下であり臨床的に良性である。常染色体劣性遺伝(AR)する病型では血中メチオニンの高値(20mg/dl以上)が持続し脱髄を伴う中枢神経症状を合併することがある1)

疫学

正確な発症頻度は不明であるが、新生児タンデムマススクリーニングの導入により諸外国では2〜3万人に1人と報告がある。

病因

染色体10q22に位置するMAT1A遺伝子の異常によりメチオニンアデノシルトランスフェラーゼの酵素欠損が生じる2,3)。

症状

①AD型: マススクリーニングでの初回検査値は2〜10mg/dlであり(アミノ酸分析による再検でも228〜763μmole/L)、その後も血中メチオニン濃度は10mg/dl以下で経過する。臨床的に良性で無症候に経過することが多い。成人期になると血中メチオニン濃度が正常上限から2-3mg/dl程度に低下する。②AR型:10mg/dl以上の高メチオニン血症が持続し中枢神経症状を合併することがある4)。乳児期に軽度の肝機能障害やアンモニアの上昇、葉酸の高値、一過性に体重増加不良や筋トーヌスの亢進、さらにMRIでミエリン形成の遅延などが報告されている。肝生検で一部脂肪変性を認めることがある。

診断

「診断の手引き」参照

治療

無治療で経過観察することが多いが、乳児期に血中メチオニンが高値を示す時や肝障害や髄鞘化遅延の認める際は、低メチオニンミルクを使用し10mg/dl以下へコントロールする。20mg/dlを超えるような高メチオニン血症が持続しS-アデノシルメチオニン(SAM)の合成障害と中枢神経の脱髄との関連が示唆される症例では、SAMの投与により脱髄や神経症状の改善が期待できる。今後の治療法として注目されているが、SAM自体の測定法が一般的でなく投与量の測定や投与期間は検討の余地がある。

予後

遺伝子検査によりAD型のR264Hが病因変異とわかれば、臨床的に良性であり無治療で経過観察が可能である。AR型の変異を有するホモ接合体や複合ヘテロ接合体でも無症状で経過する場合もあるが、定期的なMRI検査を行い脱髄や神経症状の出現に注意する5)。

参考文献

1) Mudd S H et al.:Isolated persistent hypermethioninemia. Am J Hum Genet 1995;57:882-892
2) Ubagai T, et al.:Molecular mechanisms of an inborn error of methionine pathway: methionine adenosyltransferase deficiency. J Clin Invest 1995;96:1943-1947
3) Chamberlin M E, et al.:Dominant inheritance of isolated hypermethioninemia is associated with a mutation in the human methionine adenosyltransferase 1A gene. Am J Hum Genet 1997;60:540-546
4) Chamberlin M , et al.: Demyelination of the brain is associated with methionine adenosyltransferase I/III deficiency. J Clin Inves 1996;98:1021-1027

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。