こうさんきゅうぞうかしょう好酸球増加症hyper eosinophilic syndrome
小児慢性疾患分類
- 疾患群10
- 免疫疾患
- 大分類8
- 好酸球増加症
- 細分類52
- 好酸球増加症
病気・治療解説
概要
末梢血中の成熟好酸球が1500個/mm3以上に増加し、組織に浸潤して臓器障害を生じる。
病因
一部の症例では異常な表面形質を有するTリンパ球が増殖し、これらがIL-5などの増殖因子を大量分泌して好酸球増加症の原因となる。一部症例ではチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブにより好酸球の増加が抑制され、チロシンキナーゼとして恒常的に活性化しているFIPIL1-PDGFRαなどの融合遺伝子が病因としても考えられている。しかしFIPIL1-PDGFRαの融合mRNAが検出されないにも関わらずイマチニブに感受性のある、イマチニブ作用チロシンキナーゼが不明な症例も存在する。
疫学
非常にまれな疾患であり、日本における患者数についての報告はない。海外ではおおよそ100万人に1~2人程度の発症率と推測されている。男女比は9:1と男性に多い。
臨床症状
主に20~50歳で発症する。偶然発見されるものから緊急入院を要するものまで病状は幅広い。すべての臓器に好酸球が浸潤し、心臓障害(心内膜炎、心筋障害、心不全)、呼吸器障害(胸膜炎)、肺浸潤、関節病変、皮膚症状、中枢神経障害、消化管障害、腎障害を生じうる。貧血、血小板減少を伴うことが多く、約1/3の症例でIgEの上昇が認められる。また、凝固機能が亢進していることが多い。
治療
FIPIL1-PDGFRα遺伝子融合例ではイマチニブが著効する。一部のFIPIL1-PDGFRα融合遺伝子陰性例においても有効であるが、その適応は定まってはいない。チロシンキナーゼ阻害剤の効果が乏しい場合は、好酸球による臓器障害予防のためステロイドが用いられ、効果不十分ならヒドロキシカルバミド、シクロスポリン、インターフェロンα、その他の抗がん剤などを用いる。
合併症
心合併症が50~70%と高率で重篤である。好酸球蛋白による心内膜の線維化・肥厚による心筋症から心不全へ至る。血栓症、塞栓症などの血管病変、肺浸潤影や胸水貯留、皮膚へ浸潤による皮疹、血管性浮腫、皮膚潰瘍、神経浸潤によるてんかんや行動異常、感覚障害、多発神経炎を合併することがある。
成人期以降の注意点
妊娠、出産時には、主治医にも相談する。
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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