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ごなどとろぴんいぞんせいししゅんきそうはつしょう
ゴナドトロピン依存性思春期早発症Gonadotropin-dependent true precocious puberty

小児慢性疾患分類

疾患群5
内分泌疾患
大分類26
思春期早発症
細分類57
ゴナドトロピン依存性思春期早発症

病気・治療解説

概念

二次性徴とは、男子における精巣の増大と外性器の成熟・陰毛の発生・腋毛やひげ、変声が、また 女子における乳房発達、陰毛発生と外性器の成熟および腋毛の発生・月経がおこり、順次進行していくことである。一般に、二次性徴の開始時期には個人差があり、平均開始年齢からほぼ正規分布を示すと考えられている。二次性徴が平均から2SDまたは95パーセンタイルよりも早期に開始したものは、標準的な幅を超えて病的に早いと考えられ、これを思春期早発症と定義する。
思春期における二次性徴は、脳内視床下部よりも中枢の「成熟時計」と呼ばれる体内時計により、視床下部ゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が亢進し、これが下垂体からのゴナドトロピン(LHおよびFSH)の分泌を促進し、さらにゴナドトロピンが性腺からの性ホルモン(精巣からのテストステロンまたは卵巣からのエストロジェン)分泌を促進することで発来し、進行する。
思春期早発症は、ゴナドトロピン依存性とゴナドトロピン非依存性に分類される。ゴナドトロピン依存性思春期早発症は、中枢のゴナドトロピン放出ホルモン分泌亢進から始まるゴナドトロピン分泌促進を認めるもので、脳内の変化に起因する。一方、ゴナドトロピン非依存性思春期早発症は、脳内のホルモン分泌亢進がない状態で、末梢における内因性分泌亢進あるいは外因性の性ホルモン曝露により二次性徴を認めるものであり、脳のゴナドトロピン分泌はむしろ抑制される。

疫学

思春期早発症の定義によると、同性・同年齢の約2.3パーセンタイル未満が思春期早発症と診断される可能性があるが、実際に疾患として診療対象となるのはその約半数以下と考えられる。また、女児ではゴナドトロピン依存性思春期早発症が90%であるのに対し、男児では約50%と考えられている。思春期早発症診断のボーダーラインである7歳(女児)〜9歳(男児)前後の人口は各年齢男女それぞれに約55万人であるとすると、1年齢に7000名程度となる。年少になるほど発症頻度は低下する。従って、総数として15000〜20000名、思春期前年齢(0〜7ないし9歳)1万人に17〜22名と考えられる

病因

思春期の開始を決定する因子は未だ不明な点が多い。
二次性徴の開始を支配する脳内視床下部よりも中枢の「成熟時計」と呼ばれる体内時計が早期に覚醒することにより、視床下部ゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が早期に亢進し、これが下垂体からのゴナドトロピン(LHおよびFSH)の分泌を促進し、さらにゴナドトロピンが性腺からの性ホルモン(精巣からのテストステロンまたは卵巣からのエストロジェン)分泌を促進することで進行する。最近になって、GPR54, KISS1, MKRN3遺伝子の単独変異によるゴナドトロピン依存性思春期早発症例が報告された。
このほか、脳腫瘍等による放射線頭蓋照射によりおこることがある。

症状

二次性徴が早期に発来する。女児では乳房腫大、早発陰毛、早発月経を来す。男児では精巣の増大、陰茎の増大、早発陰毛、変声を来す。成長の加速を認め、骨年齢が促進する。ゴナドトロピン依存性思春期早発症では副腎の成熟も伴うため、面皰の増加なども認める。
視床下部過誤腫によるものでは笑い発作を伴うことがある

治療

ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(LHRHアナログ)が有効である。
治療の目的は、1)原疾患があればその治療、2)成人身長低下の防止、3)精神的成熟と身体成熟の不均衡の是正、である。ゴナドトロピン依存性思春期早発症では、診断を受けた者が必ずしも全例治療が必要になるわけではなく、経過観察のみでよい場合もある

予後

低年齢発症の方が治療による身長予後改善がよい。
治療終了後の性腺機能回復は良好で、妊孕性に問題が起こることは通常ないと考えられるが、放射線頭蓋照射例は徐々にゴナドトロピン分泌が低下することがある

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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