じーえむわんがんぐりおしどーしすGM1-ガングリオシドーシスGM1-gangliosidosis
小児慢性疾患分類
- 疾患群8
- 先天性代謝異常
- 大分類6
- ライソゾーム病
- 細分類86
- GM1-ガングリオシドーシス
病気・治療解説
概要
β-ガラクトシドーシスは、糖脂質の末端β-ガラクトース結合を加水分解する酵素であるβ-ガラクトシダーゼが欠損することにより発症する、常染色体劣性遺伝形式を示す遺伝病である。脳をはじめとして全身臓器にGM1ガングリオシドなどの糖脂質、オリゴ糖、ムコ多糖(ケラタン硫酸)などが蓄積する。進行性の中枢神経障害を主とするGM1-ガングリオシドーシスと、中枢神経障害を伴わない全身骨系統疾患であるモルキオB病に分類される。発症頻度は1/10万~20万人とされ、発症時期と臨床経過により、乳児型、若年型、成人型に分類される。乳児型は生後3~6ヶ月までに発達の遅れが見られ、筋緊張低下、音に対する過敏症、全身性けいれん、眼底のチェリーレッドスポット、肝脾腫、全身の骨異常を呈する。若年型は1歳前後から発症し、臨床症状は乳児型に類似するが、やや軽度である。肝脾腫やチェリーレッドスポット、骨異常はほとんどない。成人型は、発達は正常で知能障害が少ない。歩行障害、構音障害が初期症状として多く、ジストニアなどの錐体外路症状を呈する。
疫学
罹患率は10万~20万人に1人と考えられている。
病因
βガラクトシダーゼ酵素をコードするGLB1遺伝子の遺伝子変異で発症する。160を超える遺伝子変異が報告されており、日本では、R201C遺伝子変異をもつ若年型の患者さんとI51T遺伝子変異をもつ成人型の患者さんが比較的多い。
βガラクトシダーゼ酵素の欠損により、GM1-ガングリオシドが細胞内に蓄積しており、この蓄積が2次的なコレステロールの蓄積や細胞内脂質輸送の異常を引き起こす。
症状
乳児型は、生後6ヶ月までに発達の遅れがあり、筋緊張低下、音に対する過敏性が見られることもある。腱反射は更新し、全身けいれんが出現する。眼底のチェリー・レットスポット、肝脾腫、全身の骨異常などが進行する。若年型は1歳前後から発症し、症状は乳児型より軽度である。肝脾腫、チェリー・レットスポットなどは目立たない。成人型は、知的障害は少なく、初期には構音障害が目立つ。歩行障害、ジストニアなどの錘体外路症状が目立つ。
診断
末梢リンパ球または培養皮膚線維芽細胞のβガラクトシダーゼ酵素活性を測定し、低下(10%以下)している場合に本症を診断できるが、ガラクトシアリドーシスでもβガラクトシダーゼ酵素活性が低下するので鑑別する必要がある。GLB1遺伝子診断も診断には有用である。
治療
現段階では対症療法に限られる。基礎的にはシャペロン療法が開発されてきているが、現在、臨床応用されている治療法はない。
予後
乳児型では予後不良で、3歳までに亡くなる患者さんが多い。若年型は、10歳前後で寝たきりになる場合が多い。成人型はジストニアや構音障害が進行し、生活に支障を来す。
成人期以降
成人型では錐体外路症状が目立ち、脊髓小脳変性症などとの鑑別に注意を要する。
参考文献
檜垣克実、足立香織、難波栄二:GM1ガングリオシドーシス(β-ガラクトシド-シス). 別冊日本臨床 新領域別症候群 No.20 先天代謝異常症(第2版) 下—病因・病態研究、診断・治療の進歩—:478-485,2012.
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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