とうげんびょうなながた糖原病Ⅶ型Glycogen storage disease type VII
小児慢性疾患分類
- 疾患群8
- 先天性代謝異常
- 大分類5
- 糖質代謝異常症
- 細分類71
- 糖原病Ⅶ型
病気・治療解説
概要
糖原病VII型(Tarui病)は筋ホスホフルクトキナーゼ欠損症の欠損により発症する常染色体劣性遺伝性疾患であり、1965年に垂井らにより初めて報告された。骨格筋の筋収縮に必要なATPの供給が不足し、運動不耐、運動時有痛性筋けいれん、横紋筋融解症(ミオグロビン尿症)が生じる。溶血がしばしば認められる。
疫学
有病率は明らかではないが、比較的まれな疾患である。我が国で行った全国調査から、糖原病V型より有病率は低いと考えられる。
病因
ホスホフルクトキナーゼはフルクトース-6-リン酸をフルクトース-1,6-ビスリン酸にリン酸化する解糖系の律速酵素である。ホスホフルクトキナーゼには肝型、筋型、血小板型の3つのアイソザイムが存在する。糖原病VII型は筋型アイソザイムが欠損することにより発症する。骨格筋では筋型アイソザイムのみが発現し、赤血球では肝型と筋型のアイソザイムが発現している。糖原病VII型では運動不耐などの筋症状が出現し、溶血所見がしばしば認められる。原因遺伝子は染色体12q13.11に存在するPFKMで、ホモ接合または複合ヘテロ接合の変異により発症する。
症状
運動不耐、運動時有痛性筋けいれん、横紋筋融解症、ミオグロビン尿症。強い短時間の等尺性運動でそれらの筋症状が誘発される。発症の時期は幼児期から成人まで様々である。糖原病V型で見られる“セカンドウィンド現象”は出現しない。溶血がしばしば認められる。乳児期発症例や、筋症状を認めず溶血所見のみを示す症例も報告されている。
診断
治療
横紋筋融解症、腎機能障害の急性期には、大量輸液,高カリウム血症対策と尿アルカリ化,急性腎不全に対しては血液透析などを行う。筋症状や筋崩壊の予防のために、重量挙げなどの強い等尺性の運動を避ける。運動耐性に対して、糖原病V型で効果がある運動前のショ糖摂取は糖原病VII型では効果を示さない。
予後
生命予後は良好である。筋力低下、筋萎縮が進行することがある。
成人期以降
筋力低下、筋萎縮が進行することがある。
参考文献
1) Nakajima H1, et al. Phosphofructokinase deficiency; past, present and future.
Curr Mol Med. 2002;2:197-212.
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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