がんめんけんこうじょうわんがたきんじすとろふぃー顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーfacio-scapulohumeral muscular dystrophy; FSMD
小児慢性疾患分類
- 疾患群11
- 神経・筋疾患
- 大分類20
- 筋ジストロフィー
- 細分類48
- 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
病気・治療解説
概念
常染色体優性遺伝をとり、顔面筋、肩甲、上腕近位部の筋が主に障害をうけ、緩徐進行性を示す疾患である。
病因
染色体4q35-qterには制限酵素kpnIで消化されるD4Z4とよばれる3.3kbの繰り返し配列が存在し、通常この繰り返し配列の数は11~100個以上と様々であるが、本疾患患者では10個以下と減少している。診断にはゲノムDNAを制限酵素EcoRIおよびEcoRi/BlnIを用いて消化し、サザンブロット解析が必要である。
疫学
人口10万人あたり5人程度と言われている
臨床症状
初発症状は表情が乏しい、麺をうまくすすれない、上肢の挙上困難、翼状肩甲などの顔面筋罹患、上肢帯の筋力低下を主訴とする場合が多い。多くは20歳までに発症するが、幼児期から壮年期まで幅があり、壮年期になっても軽度の顔面筋罹患のみの場合もある。症状の進行は緩徐であるが、進行とともに下肢帯、下肢にも障害は及び、成人になって車椅子生活になる場合も多い。
検査では血清クレアチンキナーゼ(CK)値の軽度~中等度の上昇、針筋電図では多相性電位、早期干渉などの非特異的筋原性変化を認めるが、神経原性の要素が含まれた混在性の変化も混在する場合もある。筋生検で筋ジストロフィー変化を認めるほか、血管周囲の炎症性細胞浸潤、神経原性筋萎縮で認めるような小角化線維を認める場合も存在する
診断
治療
根本的治療法は現在までのところ見いだされていない。必要に応じて、リハビリテーション、呼吸障害や側弯に対する治療が行われる
予後
約20%の症例で40歳までに車椅子生活となるが、生命予後は一般には良好である
参考文献
林由起子.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー.埜中征哉(監)、小牧宏文(編) 小児筋疾患診療ハンドブック 診断と治療社 116-19, 2009
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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