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どーぱみんべーたすいさんかこうそけっそんしょう
ドーパミンβ-水酸化酵素欠損症Dopamine beta hydroxylase deficiency

小児慢性疾患分類

疾患群8
先天性代謝異常
大分類11
神経伝達物質異常症
細分類125
ドーパミンβ-水酸化酵素欠損症

病気・治療解説

概要

ドーパミンβ水酸化酵素(DBH)欠損症は、ドーパミンをノルアドレナリンに水酸化する酵素の欠損症で、交感神経NA作動性機能の欠如により自律神経障害が引き起こされる常染色体性劣性遺伝形式をとる非常にまれな先天代謝異常症である。おもに心血管疾患、重度の起立性低血圧によって特徴づけられるが、その異常は周産期から始まり、新生児ではNA、アドレナリンの両者の低下による低体温、低血圧、低血糖など複雑な自立神経症状が認められる。

疫学

きわめて希な先天代謝異常症でこれまでに世界でも15例が報告されているにすぎない。

病因

DBH欠損症は9番染色体(9q34)に位置するDBH遺伝子(DBH)の変異に基づく先天代謝異常症で、この酵素の欠損はドーパミンの増加とノルアドレナリンとさらにノルアドレナリンから産生されるアドレナリンの両者が欠乏するため自律神経障害を引き起こす。

症状

乳児期から嘔吐、脱水、低血圧、低体温、繰り返し入院を必要とする低血糖などを発症し、小児期は運動能力の低下をみとめ、成人になる頃には、運動能力の低下に、深刻な起立性低血圧、眼瞼下垂、鼻閉などの症状を認める。

診断

DBH欠損症の診断は、臨床所見、生化学分析、および遺伝子解析に基づいて行う。血漿、髄液中のDBH活性の低下は個体差が大きくこれだけでは診断できない。生化学分析では、血漿、尿、脳脊髄液中でドーパミンの増加とノルアドレナリンとアドレナリンの低下あるいは、それらの代謝産物の測定でHVA/VMA比の増加を証明する。確定診断はDBH遺伝子解析で行う。

治療

DBH欠損症の治療はL-DOPS(L-dihydroxyphenylserine)を投与する。L-DOPSはL-DOPA(L-dihydroxyphenylalanine)のβ位を水酸化したアミノ酸で、AADC(芳香族アミノ酸水酸化酵素)の働きで脱炭酸されるとDBHの作用を受けずにノルアドレナリンとなり、起立性低血圧などの症状には劇的な効果があるとされている。

予後

治療が著効すれば予後は悪くない。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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