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せんてんせいようさんきゅうしゅうふぜんしょう
先天性葉酸吸収不全congenital malabsorption of folate

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先天性葉酸吸収不全
先天性葉酸吸収不全症

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病気・治療解説

概要

ビタミンの一種である葉酸は健康維持に大切な栄養素で、食品から必要量を摂取する必要があります。 先天性 葉酸吸収不全のお子さんは、食品中に含まれている葉酸を生まれつき腸管で吸収できず、普通の食事を取っているにもかかわらず葉酸不足となり、様々な症状がでます。葉酸は、赤血球やリンパ球などの造血系、腸管などの消化器系、脳などの中枢神経系の機能維持に重要な働きをしていることから、この病気では、貧血、免疫不全、下痢、精神発達遅滞、てんかんなどの症状が起こります。

罹患数

大変稀な疾患です。これまで論文として報告されているのは30例あまりで、日本からの報告は未だ数例です。

疫学

カリブ海のプエルトリコ自治連邦区にこの病気の発生頻度が高い地域があることが知られていますが、他の地域では大変稀な遺伝病です。発症は早く、乳児期から貧血などの症状が現れます。

原因

葉酸は、腸管に存在する葉酸輸送体(proton-coupled folate transporter,PCFT)の働きで体内に吸収されます。この葉酸輸送体の設計図であるSLC46A1 遺伝子の変異 のためにその機能を失い、生まれつき葉酸の吸収ができないことがこの病気の原因です。この葉酸輸送体は血中に存在する葉酸を脳などの中枢神経系に運ぶ働きもするため、中枢神経系においても葉酸不足となり、脳の発達や機能維持に障害が起こります。

遺伝

遺伝します。 常染色体劣性遺伝 という病気の伝わり方をします。常染色体劣性遺伝の場合、患者さんのご両親はどちらもその病気にはならず、 保因者 となります。先天性葉酸吸収不全の原因はSLC46A1と名付けられた遺伝子の 変異 によりますが、SLC46A1遺伝子は2本存在し、1本は父由来であり、もう1本は母由来です。患者さんでは、遺伝子の両方に遺伝子変異を持ちますが、どちらか一方の遺伝子のみに変異を持つのが保因者です。共に保因者であるご両親からは、4に1人の割合でこの病気のお子さんが生まれます。

症状

乳児期早期から次のような症状が現れます。
・貧血(赤血球の減少に加え、白血球や血小板の減少をしばしば伴います)
・繰り返す感染症(細菌やウイルス感染から体を守る免疫系に障害があるため)
・治りにくい下痢
・体重増加不良などの成長障害
・発達の遅れ
・てんかん

治療法

葉酸の1種であるフォリン酸(商品名ロイコボリン®)を定期的に筋肉内に注射することにより、血中や髄液中の葉酸濃度を上昇させる治療が試みられています。この治療により、貧血や免疫不全状態の改善、中枢神経症状障害の予防、が報告されています。この治療法が有効であったという症例数が少ないため、その有効性は未だ確立しているとはいえません。しかしながら、複数の有効例が報告されているため、試してみるべき治療と考えられます。

経過

無治療の場合、貧血、繰り返す感染、知的障害、てんかん、などの症状が様々の程度で進行します。フォリン酸大量筋注療法を行った数症例において、貧血や 易感染性 などの造血系障害の改善が報告され始めています。また、乳児期から20年以上にわたりフォリン酸筋注療法を受けたこの病気の患者さんが、知的障害も無く無症状で成長し、元気に働いているという報告もあり、この治療への期待は大きいといえます。しかしながら、希少病で症例数が少ないため、全例に効果があるかどうかなどの不明な点もあり、今後の研究が必要です。

患者さんに知って欲しいこと

発熱時に医療機関を受診した場合は、先天性葉酸吸収不全に罹患していることを外来担当医に伝えて下さい。また、予防接種を受ける場合は、主治医に相談してください。

※難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jpより、許可をいただき掲載しております。