せんてんせいときそぷらずまかんせんしょう先天性トキソプラズマ感染症Congenital toxoplasmosis
小児慢性疾患分類
- 疾患群11
- 神経・筋疾患
- 大分類32
- 先天性感染症
- 細分類91
- 先天性トキソプラズマ感染症
病気・治療解説
概要
妊娠中の妊婦がトキソプラズマによる初感染をおこし、胎児に感染することにより発症する。
出生時より何らかの異常を認める場合や、無症状の場合もある。すでに感染している場合、
高い効果を持ち安全に投与できる薬物治療法は現時点では確立していない。
出生時の症状の有無に関わらずその後視力障害や精神運動発達遅滞など遅発性障害を合併する場合がある。
病因
妊娠中のトキソプラズマによる初感染が原因である。妊婦の抗体保有率が低下傾向にあることが重要な要因である。
初感染の時期が妊娠早期であるほど出生時の異常が高度になる。しかしながら、感染後の詳細な進展機序は不明な点が多い。
疫学
患者数は約9100~91000人と推計され、このうち成人の患者数は約6500~65000人。
先天性トキソプラズマ感染症の出生数は、年間130~1300人と推計。
臨床症状
症候性の場合には、胎児発育遅延にともなう低出生体重、肝脾腫、脳内石灰化、水頭症、肝機能異常、
血小板減少、網脈絡膜炎、てんかんなどの症状を伴う。無症候性の状態で出生しても、
その後視力障害や精神運動発達遅滞など遅発性障害が出現することがある。
検査所見
血液・生化学的検査所見
末梢血トキソプラズマIgM, IgG抗体の上昇
あるいは血液または髄液PCR陽性
画像検査所見
頭部超音波、CTあるいはMRIによる脳石灰化や脳室拡大、水頭症
診断の際の留意点
特になし
治療
すでに胎内感染が成立した症候性の児に対する化学療法が試みられているものの、副作用を考慮すると慎重な判断が求められる。
合併症
主要症状以外に特異な合併症はない.
予後
症候性の場合は、出生時の異常がそのまま継続する可能性があり、精神運動発達遅滞、視力障害、
てんかんが生涯にわたりQOLに影響する。また、たとえ出生時に無症候であっても、遅発性に精神発達遅滞や運動障害、
視力障害などが出現する場合にも同様に生涯にわたりQOLに影響する。
成人期以降の注意点
なし
参考文献
厚生労働科学班研究・医療技術実用化総合研究事業「わが国における熱帯病・寄生虫症の診断治療体制の構築」研究班(平成26年度)作成の診断基準
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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