せんてんせいへるぺすういるすかんせんしょう先天性ヘルペスウイルス感染症Congenital herpes simplex virus infection
小児慢性疾患分類
- 疾患群11
- 神経・筋疾患
- 大分類32
- 先天性感染症
- 細分類88
- 先天性ヘルペスウイルス感染症
病気・治療解説
概念
新生児単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)感染症は、分娩前後のHSVによる感染症。水疱などの皮膚病変、眼球・口腔粘膜病変に加えて、病型によっては脳炎、肝障害などの臓器病変を合併する。ウイルス培養、HSV遺伝子同定により診断される。高用量のアシクロビル静注療法が行われるが、致死率、神経学的後遺症率とも高い。
疫学
発生頻度は国によって異なり、日本では14,000〜1/20,000出生に一人と推定される
病因
新生児HSV感染症を発症した母体の約60~70%は無症状である。産道感染(多くが不顕性感染)が約80%、胎内感染が5%前後、出生直後の家族・病院職員からの水平感染が10%前後と推定される
症状
しばし出生後7~10日以内に発病する。全身型、中枢神経型、表在型(皮膚、眼球、口腔粘膜に局在)などに分けられるが、全身型の発生頻度が最も高い。皮膚病変(水泡、瘢痕性病変)は病型にかかわらず約半数の患者で認められる。全身型は、発熱、活気・哺乳力の低下、皮疹・口内疹で発症、肝脾腫・黄疸、呼吸障害も出現する。中枢神経型では、けいれん発作、呼吸障害、脳脊髄液の細胞増多・蛋白濃度上昇、頭部MRI異常がみられ、皮膚・軟膜病変を示さない場合もある。新生児の眼、口腔、鼻腔、血液、水泡からのウイルス培養、HSV遺伝子のPCR同定により診断する。中枢神経型では脳脊髄液での検査が必要となる
治療
高用量のアシクロビル療法を行う(1日3回に分けて静注を14~21日間継続)。加えて輸液、呼吸補助、けいれんコントロールなども必要である。無治療での死亡率は70~80%(全身型は60%)だが、アシクロビル治療により死亡率は30%前後に低下する。中枢神経型では約2/3の症例に神経学的後遺症が残り、小頭症、水頭症、水無脳症、脳内石灰化などがみられる
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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