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たんしんぼうしょう
単心房症Common atrium

小児慢性疾患分類

疾患群4
慢性心疾患
大分類43
心房中隔欠損症
細分類52
単心房症

病気・治療解説

概要

心房中隔が欠損し、右心房と左心房の間に隔壁が存在しない先天性心疾患。発生段階で心房中隔の形成ができなかったものである。肺血流の著しい増加から、心不全症状が幼児期に、より重症に出現してくる。症状が急速に進行する例は、早期にパッチ縫着による心房中隔形成術を行う必要がある。

病因

ひとつは発生の段階から内臓錯位のために左右心房の区別ができず、原始的な単心房として形成されたもの。そのため多くは心室も単心室形態となり複雑心奇形を合併する。
もうひとつは心房内面に鎌状の陵を形成してから始まる心房中隔形成の一連の発生過程が何らかの原因により障害され、心房中隔の形成ができないことが考えられる。

疫学

単心房の大多数は内臓錯位に伴うものであり、無脾症・多脾症と合併し単心室、肺動脈狭窄・閉鎖、両大血管右室起始、肺静脈還流異常などの心奇形を伴うことが多い。ごくまれに単心房に房室弁以上を伴う以外に心内奇形がない例が見られる。
内臓錯位の頻度は約出生10000人に1人(0.01%)とされている。

臨床症状

肺血流の著しい増加から、心不全症状が幼児期に、より重症に出現してくる。自然予後は房室中隔欠損症と共通房室弁口の中間である。チアノーゼは軽度ないし啼泣時にのみ認める時期から、常時認める時期まである。なお内臓心房錯位、奇静脈結合、共通房室弁口、一側房室弁閉鎖、心室置換、大血管転換、肺動脈狭窄、Ebstein病などをしばしば伴うのでこれらの合併症の症状が前面に出現する

診断

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治療

症状が急速に進行する例は、早期にパッチ縫着による心房中隔形成術を行う必要がある。僧帽弁の亀裂や弁閉鎖不全を認める例では亀裂を直接縫合ないし、パッチで修繕し弁輪縫縮術や弁置換術を施行する必要がある。
なお内臓錯位の単心房症は、その他の合併する複雑心奇形の治療が必要となる。

予後

心内奇形を他に合併しない左右心房が分化しているものに関しては、血行動態が心房中隔欠損症と似るが、心房での動静脈血mixingによるチアノーゼ、僧帽弁逆流が早期に起こり、肺高血圧が血行動態や障害歴に大きな影響を及ぼす。
一方で内臓錯位に伴う単心房は、その他の心合併奇形により予後が異なる。外科治療の進歩により出生直後から綿密な治療計画を立案することで予後は大きく改善されてきているが、単心室形態からFontan循環となることでの長期的な予後については現在なお不明な点が多い

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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