まんせいにくげしゅしょう慢性肉芽腫症Chronic granulomatous disease; CGD
小児慢性疾患分類
- 疾患群10
- 免疫疾患
- 大分類5
- 原発性食細胞機能不全症および欠損症
- 細分類40
- 慢性肉芽腫症
病気・治療解説
概要
食細胞の殺菌能が低下することで細菌や真菌に対して易感染性を呈し、乳児期から重篤な感染症を繰り返す疾患。また、免疫応答の制御異常を認め、過剰な炎症反応が遷延し肉芽腫形成や肉芽腫性腸炎をきたす。治療は抗生剤投与などが主体となるが、重度の場合は造血幹細胞移植を考慮する。
病因
活性酸素種は、細胞膜蛋白のgp91phox、p22phoxと細胞内蛋白のp47phox、p67phox、p40phox から構成されるNADPHオキシダーゼによって産生され、貪食した病原体を殺菌する作用をもつ。本疾患は、NADPHオキシダーゼ構成分子の先天的な異常によって、活性酸素産生能が障害される。
疫学
国内の発生頻度は22万人に1人であり、これまで約230例が報告されている。病型別では、gp91phox欠損型が約80%と最も頻度が高く、p22 phox欠損型が約10%、p47 phox欠損型とp67 phox欠損型はそれぞれ約5%である。
臨床症状
乳幼児期から肺炎、化膿性リンパ節炎、皮下膿瘍、肝膿瘍、骨髄炎、蜂窩織炎、髄膜炎などの感染症を繰り返す。膿瘍の原因菌としてブドウ球菌が最多で、アスペルギルス、セラチア、セパチア、カンジダ、クレブシエラなども検出される。致死的感染症の原因菌として、アスペルギルスとセパチアが約50%を占める。CGD腸炎はCGDの約50%に合併する慢性腸炎で、炎症性腸疾患に類似した機序で腹痛、下痢、血便、発熱などの症状をきたす
治療
ST合剤とイトラコナゾールを内服し、感染症に対する予防を行う。また、インターフェロンγ治療は慢性肉芽腫症の約3割で重症感染症のリスクを軽減する。肉芽腫性腸炎に対してステロイド治療が行われるが、易感染性が増悪する可能性が指摘されている。根治療法は造血幹細胞移植であり、血縁および非血縁のHLA一致ドナーの骨髄を用いて骨髄移植が行われる。近年では、臍帯血移植も実施されている
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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