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かるちのいどしょうこうぐん
カルチノイド症候群Carcinoid syndrome

小児慢性疾患分類

疾患群5
内分泌疾患
大分類32
消化管ホルモン産生腫瘍
細分類75
カルチノイド症候群

病気・治療解説

概念

活性アミン(セロトニン、ヒスタミン)、タキキニン、プロスタグランジンなど の分泌過剰による疾患。

病因

主に気管支、肺、腸管に発生する腫瘍による

疫学

世界的には、カルチノイドの年齢調整発生率は10万人当たり約2人である。小児期には極めてまれである

臨床症状

下痢、皮膚潮紅、喘鳴、心不全(特に右心系)、ペラグラ症状(rough scaly skin、舌炎、口角炎)などがあり、昏迷を呈することもある。神経内分泌腫瘍 が産生、分泌する複数の生理活性物質によって多彩な症状が出現する。なかでも 血管拡張による皮膚紅潮は特徴的で顔面前胸部を中心に出現し、発汗を伴わない(dry flushing)。長期化すると顔面の毛細血管拡張はチアノーゼ様となる。肝転移を伴う中腸由来神経内分泌腫瘍では、上述の症状が多いが、胃の神経内分泌腫瘍 はヒスタミンを産生するため痒疹を伴う非定型的な皮膚潮紅を示し、消化性潰瘍も多い。カルチノイド症候群を起こす原発腫瘍は、主に気管支、肺、腸管に発生する。腸管では小腸が多いが虫垂、大腸などの NET でも発生する。他にも膵、性腺、甲状腺に発生することがある

診断

セロトニンの代謝産物である尿中 5-HIAA(24 時間蓄尿)の測定が有用である。US、CT、MRI、EUS 検査が有用である。MEN1 の合併の有無を診断するために、補正血清カルシウム濃度測定とインタクト PTH 測定が有用である。局在診断のため、US、CT、MRI、EUS 検査が有用である。尿中 5-HIAA 測定の感度は 60-73%、特異度は 90-100%である。ある種の食品(アボガド、バナナ、チョコレートなど)の摂取や薬品(アセトアミノフェン、アセトアニリド、カフェインなど)の服用によって偽陽性になることがあるので注意が必要である。血中クロモグラニン A 測定が有用であるが本邦では未承認である

治療

消化管カルチノイドは根治的薬物療法が確立されておらず,治療の大原則は所属リンパ節郭清を伴う外科手術による根治的切除である。現時点では有効な化学療法が存在せず,ソマトスタチンアナログが使用される。下痢に対してロペラミドなどの止痢薬が有効である。消化器症状に対してオンダンセトロンの有用性が報告されている(この目的では本邦未承認) 。カルチノイドクリーゼが手術、麻酔、生検、腫瘍の触診、ストレスなどによって引き起こされることがあり、その際は血漿製剤の輸注とソマトスタチンアナログによる治療が推奨される。手術や麻酔、生検を予定しているカルチノイド症候群患者にはソマトスタチンアナログの術前使用が推奨される

予後

リンパ節転移や遠隔転移が最大の予後因子である

参考

(1) 膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET) 診療ガイドライン 膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン作成委員会
(2) NET診断と治療のコンセンサス

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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