びーるずしょうこうぐんビールズ(Beals)症候群Beals syndrome; Congenital contractural arachnodactyly
小児慢性疾患分類
- 疾患群15
- 骨系統疾患
- 大分類2
- 骨系統疾患
- 細分類17
- ビールズ(Beals)症候群
病気・治療解説
概要
多発性関節拘縮、くも状指、耳介の変形、側弯症、細く長い四肢などを主徴とする常染色体優性遺伝疾患である。
体型的にはマルファン症候群に類似する点が多いが、マルファン症候群では関節弛緩性を呈するのに対し、本症では関節は拘縮する。
特に手指の屈曲拘縮を認める。また、マルファン症候群でしばしば認められる眼症状や大血管系の合併症は伴わない。
しばしば乏しい皮下脂肪組織、舟状頭を伴う。遠位型多発性関節拘縮症(distal arthrogryposis)9型に分類されている。
病因
FBN2遺伝子の変異が原因である。発症機序は不明である。
疫学
本邦での患者数は不明である。
臨床症状
多発性関節拘縮、細く長い指(くも状指)、耳介の変形、細く長い四肢を主徴とする。大部分の症例では心血管病変はないが、大動脈基部拡張や僧帽弁逸脱を呈する症例がある。顔面正中部の低形成(平坦な顔貌)と小顎症を特徴とする。
感音難聴または伝音難聴が見られることもある。硝子体・網脈絡膜変性から網膜剥離を来す場合がある。四肢体幹ともに短縮し、低身長となる。著明な脊柱変形(後側弯)、骨萎縮などを呈する場合もある。
検査所見
なし
診断の際の留意点
マルファン症候群との鑑別が重要となる。手指の屈曲拘縮など、関節拘縮を呈する点がマルファン症候群とは異なる。
また、本症では眼科的合併症や心大血管病変を伴うことは少ない。
治療
疾患特異的な治療法は確立されていない。側弯に対して整形外科的手術を行う。関節拘縮や内反足に対してリハビリテーションを行う。
合併症
なし
予後
側弯は通常より早く発症し、乳幼児期から定期的なフォローを要する。大部分の症例では心血管病変はない。
関節拘縮は年齢とともに軽快する傾向がある。
成人期以降の注意点
成人期以降の長期予後についてのデータ集積はない。脊柱変形が残存した例では、随伴する神経症状の出現に注意を要する。
参考文献
日本整形外科学会作成の診断基準
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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