にじこうがたしんぼうちゅうかくけっそんしょう二次孔型心房中隔欠損症Atrial septal defect, ostium secundum type
小児慢性疾患分類
- 疾患群4
- 慢性心疾患
- 大分類43
- 心房中隔欠損症
- 細分類53
- 二次孔型心房中隔欠損症
病気・治療解説
概要
心房中隔の欠損を認める。欠損は心房中隔卵円窩を少なくとも一部含んでいる。一般的に小児期は無症状で経過することが多く、心雑音や心電図異常などで健診時に発見されることが多い。しかし加齢とともに心不全症状、不整脈や肺高血圧の症状が出現する。カテーテル治療か手術を行う。肺体血流比が1.5以上か、心エコーで右室の容量負荷を認めるとき、治療適応となる。治療後は、おおむね予後は良好である。肺高血圧が強いと、予後が不良である。手術前に心房細動を認めることがある。手術後遠隔期に洞機能不全や心房性不整脈を認めることがある。
発生・病因
20体節期に、総心房の上縁の部分が陥凹し、心房内面に鎌状の陵を形成する。これより、一次中隔の形成が始まる。その遊離縁は心内膜床の方向に向き、一次中隔と左右心房によってできた大きな開口部、すなわち一次口を形成する。
一次中隔は、体長10-11mm期に心内膜床と接着し一次口を閉鎖する。一次口閉鎖前に、一次中隔の後上方部に多数の小穿孔ができ、ついで、小穿孔が融合して二次口を形成する。
二次中隔は心内膜床の方向に向い卵円孔を囲み、二次口に重なりこれを閉鎖する。左静脈洞弁は二次中隔の右側に接し、最後にそれと融合する。同様に一次中隔と二次中隔も融合する。
二次中隔が、一次中隔の二次口をふさぎきれないとき、本症が発生する
疫学
頻度は全先天性心疾患の7−13%である。女性に多い
臨床症状
一般的に小児期は無症状で経過することが多く、心雑音や心電図異常などで健診時に発見されることが多い。しかし加齢とともに心不全症状、不整脈や肺高血圧の症状が出現する。まれに小児期に、心不全や肺高血圧を合併することがある。感染性心内膜炎のリスクは低く、予防内服は不要である。
理学所見としては、相対的肺動脈弁狭窄による収縮期駆出性雑音を、胸骨左縁第二肋間に聴取する。II音の固定性分裂を認める。相対的三尖弁狭窄による拡張期ランブルを、胸骨左縁第3から第4肋間に聴取する
診断
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治療
カテーテル治療か手術を行う。肺体血流比が1.5以上か、心エコーで右室の容量負荷を認めるとき、治療適応となる。術前に肺高血圧が高度の時は、慎重に治療適応を決める。カテーテル治療は、Amplatzer 閉鎖栓を用いる。閉鎖栓がはさむ十分な辺縁があることが必要である
予後
治療後は、おおむね予後は良好である。術前の肺高血圧が強くて治療ができなかったり、術後も肺高血圧が続くと、予後が不良である。手術前に心房細動を認めることがある。手術後遠隔期に洞機能不全や心房性不整脈を認めることがある
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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