ふせいみゃくげんせいうしつしんきんしょう不整脈源性右室心筋症Arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy or dysplasia
小児慢性疾患分類
- 疾患群4
- 慢性心疾患
- 大分類13
- 不整脈源性右室心筋症
- 細分類17
- 不整脈源性右室心筋症
病気・治療解説
概要
原因不明の右室心筋の変性、脂肪浸潤、線維化を特徴とし、右室の拡大や収縮不全、右室起源の心室性不整脈を呈する進行性の疾患である。不整脈と心不全に対する治療をおこなう。持続性心室頻拍や心室細動など不整脈に対する治療は、薬物療法、植え込み型除細動器(ICD),カテーテルアブレーションが考慮される。慢性心不全症状に対しては、抗心不全薬物療法がなされる。内科的治療に反応しない場合には、心臓移植の適応となる。
病因
右室心筋の脂肪浸潤、線維化が、外膜下からはじまり、心内膜側に広がり、貫通性となる。細胞骨格を構成するタンパク質、とくにデスモソーム蛋白の遺伝子変異で本症が発生することがある。デスモソーム蛋白のplakophilin-2(PKP-2)の遺伝子異常が多い。遺伝子異常が判明しない場合には、原因は不明といわざるをえない
疫学
発生頻度は5000人に1人といわれる。30歳前後での発症が多い。小児での発症は少ない
臨床症状
若年者の突然死の原因となる。動悸、易疲労など。無症状のこともある
診断
[理学的所見]
特徴的なものはない。
[胸部エックス線所見]
非特異的。
[心電図所見]
右側胸部誘導V1-V3のT波の陰転化。V1-V3のQRS波の後にノッチ(ε波)を認める。左脚ブロック型の心室頻拍を認める。
[心エコー所見]
右室に特異的所見である、瘤形成、肥厚した肉柱、突出bulgingを認める。右室全体の収縮低下を認める。
[MRI、CT所見]
右室に特異的所見である、瘤形成、肥厚した肉柱、突出bulgingを認める。右室全体の収縮低下を認める。脂肪浸潤を認める。MRIで、遅延性濃染を認めることもある。
[心臓カテーテル、心筋生検]
右室造影で特異的所見である、瘤形成、4mm以上の肥厚した肉柱を認める。右室全体の収縮低下を認める。心筋生検で、脂肪浸潤、線維化が著明である。
[確定診断]
心臓カテーテル造影、CT, MRIで、右室瘤、拡大した右室。心筋生検で脂肪浸潤、線維化。心電図でε波、QRS幅の延長
治療
不整脈と心不全に対する治療をおこなう。持続性心室頻拍や心室細動など不整脈に対する治療は、薬物療法、植え込み型除細動器(ICD),カテーテルアブレーションが考慮される。
不整脈に対しては、抗不整脈薬を投与する。β遮断薬やIII群抗不整脈薬(アミオダロン、ソタロール)が考慮される。
左心機能低下例、心停止蘇生例、心室頻拍の既往、右心不全徴候のある例に対しては、ICD植え込みが適応となる。
ICD植え込み後、心室頻拍に対する適切作働が発生することがある。このため、カテーテルアブレーションが併用される。右室の脂肪変性による線維化瘢痕部位のリエントリーに対して回路の切断を図る。
慢性心不全症状に対しては、抗心不全薬物療法がなされる。
内科的治療に反応しない場合には、心臓移植の適応となる。その前に状態悪化が予想される時は、人工心臓の植え込みが適応となる場合がある
予後
小児での予後はいまだ不明であるが、心不全死、突然死がありうる
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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