ふくじんひしつしげきほるもんふおうしょう副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)不応症ACTH unresponsiveness
小児慢性疾患分類
- 疾患群5
- 内分泌疾患
- 大分類19
- 慢性副腎皮質機能低下症
- 細分類39
- 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)不応症
病気・治療解説
概要
副腎皮質刺激ホルモン(adrenocortocotropin)の刺激にも関わらず、副腎皮質より糖質コルチコイド、副腎アンドロゲンの分泌が障害され、副腎不全を起こす状態をいう。アルドステロン分泌は保たれている。
病因
本症の病態は副腎皮質のACTHに対する反応性の欠如、低下であるため、糖質コルチコイド、副腎アンドロゲンの分泌は低下するが、アルドステロン分泌は保たれる。さらに外因性のACTHに対する反応性が欠如する。
常染色体劣性あるいはX連鎖型劣性の遺伝形式をとる。先天性副腎皮質不応症あるいは単にACTH不応症、さらに家族性グルココルチコイド欠損症 (Familial glucocorticoid deficiency)とも呼ばれることがある。その病因は多様性に富むが、ACTH不応症の一部にACTH受容体をコードするMC2R遺伝子異常が同定される。またMC2R accessory protein (MRAP)の異常(MRAP遺伝子異常)も報告されている。MRAPは一回膜貫通型の蛋白であり、MC2Rと共に発現し、MC2Rの細胞膜表面への発現に必須である。しかしMC2R, MRAP遺伝子異常のみつかる症例はACTH不応症の50%以下であり、なお成因の見つからない症例も半数以上存在する。まれな病態としてAllgrove症候群 (Triple A症候群)は、ACTH不応症に、アカラシア、無涙症を合併する。この原因遺伝子はAAASで、546個のALADIN (Alacrima-Achalasia-aDrenaL Insifficiency Neurologic disorder)をコードする。この蛋白はWDリピート配列をもち、核細胞質間の物質の移動に関与すると考えられている
頻度
正確な頻度は不明である
症状・検査
新生児期に発症することは比較的少なく、大部分は乳幼児期に発症する。しかし年長児での発症もある。新生児期発症の場合は嘔吐、哺乳不良、痙攣、光線療法を有する新生児黄疸が見られる。乳幼児期には低血糖による痙攣、意識障害がをきっかけに診断される場合が多く、感染症がその誘因となることもしばしばである。ACTH過剰による皮膚色素沈着は生後1ヶ月ごろから徐々に目立つようになる。ACTH受容体異常の場合には治療前に高身長であり、糖質コルチコイド補充により正常化することが報告されている
治療
糖質コルチコイドの補充を行う。感染やストレス時の対応についても糖質コルチコイドの服用量を2-3倍、経口不可能な場合には、点滴、静注が必要である。このような指導の徹底を行う。通常糖質コルチコイド補充によっても血漿ACTHレベルの正常化は不可能である。ACTH正常化のために過剰投与にならないように注意する
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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