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腸内細菌が脳の炎症を引き起こす新たな仕組みをマウスで解明

慶應義塾大学は1月15日、福島大学、京都大学ら国内複数機関との共同研究により、腸内細菌が脳や神経の病気に関わる仕組みを明らかにしたと発表しました。

これまで腸と脳が免疫を介して影響し合う「腸脳軸」という概念は知られていましたが、その詳細なメカニズムは未解明な部分が多く残されていました。

今回、研究グループは、小腸の免疫組織である「パイエル板」の表面に存在する「M細胞」という細胞に注目しました。M細胞は、腸内の細菌やウイルスなどの微粒子を積極的に取り込む特殊な役割を持っています。

まず、多発性硬化症の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎のマウスを用いて解析。その結果、M細胞が腸内細菌を取り込むことが、脳や脊髄の自己免疫炎症を引き起こす起点となっていることが明らかになりました。実際にM細胞を持たないマウスでは、通常のマウスに比べて脳脊髄炎の症状が大幅に軽減されることが確認されています。

画像はリリースより

さらに研究グループは、M細胞を経由して取り込まれた乳酸菌などの腸内細菌が作るインドール代謝物が、パイエル板の中で特殊な免疫細胞を活性化させていることを突き止めました。この免疫細胞は「γδT17細胞(ガンマデルタT17細胞)」と呼ばれ、活性化すると腸から脊髄へと移動し、そこで炎症を引き起こすことが分かりました。

また、腸内細菌が作り出したインドール代謝物が血液に乗って中枢神経に到達し、炎症を直接増幅させている可能性も示されました。これまで多発性硬化症の患者さんでは特定の腸内細菌が増加していることが報告されていましたが、今回の研究により、腸内細菌叢の変化が発症リスクに影響する理由が具体的に示されました。

画像はリリースより

なお、同研究の成果は、国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に1月9日付で掲載されました。

出典
慶應義塾大学 プレスリリース

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