全身型重症筋無力症(gMG)に対する初のFcRn阻害剤アイマービーが発売
Johnson&Johnson(ヤンセンファーマ株式会社)は11月12日、全身型重症筋無力症に対する治療薬であるヒトFcRn阻害モノクローナル抗体「アイマービー点滴静注1200mg(一般名:ニポカリマブ(遺伝子組換え))」を発売したと発表しました。
全身型重症筋無力症(gMG)は、免疫系が誤って抗体(自己抗体)を産生し、神経筋シグナル伝達を妨げる慢性的な自己抗体疾患です。主な症状には、重度の骨格筋の筋力低下や発話困難、嚥下困難などがあり、日本では約23,000人の患者さんがいると推定されています。この疾患においては、持続的な疾患コントロールをもたらす新たな治療選択肢へのニーズが高いとされています。
アイマービーは、2025年9月19日に「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能または効果として製造販売承認を取得し、同年11月12日に薬価収載されました。同剤は、成人及び12歳以上の小児という幅広い患者さんを対象とした初めてのFcRn阻害剤となります。
アイマービーは、全身型重症筋無力症(gMG)の原因のひとつである有害なIgG自己抗体を含む循環免疫グロブリンG(IgG)抗体の濃度を迅速かつ持続的に減少させるよう設計されています。国際共同第III相Vivacity-MG3試験などの結果に基づき、アイマービーと標準治療の併用群は、プラセボとの併用群と比較して、咀嚼、嚥下、発話、呼吸などの日常生活動作(MG-ADLスコア)の有意な改善が認められました。また、初回投与から24週間のモニタリング期間を通じて、IgG抗体濃度を最大75%迅速かつ持続的に低下させました。有害事象、重篤な有害事象の発現割合は、プラセボ群と同程度であったことも示されています。
国際医療福祉大学医学部脳神経内科学教授(代表)の村井弘之先生はプレスリリースにて、「全身型重症筋無力症の治療においては、症状を緩和し、安定した状態を持続的に維持できる新たな治療選択肢が求められていました。この度アイマービーが登場したことは、これら課題の解決に向けた大きな前進と言えます。またアイマービーは、成人に加え、12歳以上の小児という幅広い患者層に対する新たな治療選択肢となりました。より多くの患者さんの日常機能改善に貢献し、当たり前の日常を取り戻せるようになることを期待しています」と述べています。
また、Johnson&Johnson Innovative Medicine Japanのクリス・リーガー代表取締役社長は、「アイマービーの発売により、患者さんの人生に変化をもたらし、全身型重症筋無力症の治療に変革をもたらすことができればと願っています。そして、患者さんの生活の質の向上に貢献するとともに、高いアンメットニーズの残された自己抗体疾患に対する新たなソリューションを提供すべく引き続き研究開発に取り組んで参ります」と述べています。
