全身型重症筋無力症(gMG)成人患者さんを対象としたゲフルリマブの第III相試験で良好な結果を発表
アレクシオンファーマ合同会社は8月7日、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の全身型重症筋無力症(generalized myasthenia gravis: gMG)の成人患者さんを対象としたゲフルリマブの第III相臨床試験において、主要評価項目およびすべての副次評価項目を達成したと発表しました。このリリースは、アストラゼネカ英国本社が7 月 24 日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。
全身型重症筋無力症(指定難病11、gMG)は、筋肉の機能障害や重度の筋力低下を引き起こす希少な自己免疫神経筋疾患です。初期症状には、発話の不明瞭さ、物が二重に見える複視、まぶたのたるみ(眼瞼下垂)、筋力低下などがあり、病状が進行すると、極度の疲労、嚥下(えんげ)障害、息切れ、呼吸不全などの深刻な症状につながる可能性があります。多くの全身型重症筋無力症(gMG)患者さんに見られる抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体は、神経と筋肉の接合部で免疫系の補体系を活性化させ、筋肉への信号伝達を妨げることで症状を引き起こします。
ゲフルリマブは、臨床試験段階にある補体C5阻害剤で、抗AChR抗体陽性の 全身型重症筋無力症(gMG)治療薬として開発中の新規二重結合ナノボディです。同剤は、免疫系の一部である終末補体カスケードの補体タンパクC5に結合することで作用します。
PREVAIL試験は、全身型重症筋無力症(gMG)の成人患者さんを対象にしたゲフルリマブの安全性および有効性を評価する国際多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間第III相臨床試験。北米、欧州、アジア、太平洋地域の20カ国から、抗AChR抗体陽性の成人全身型重症筋無力症(gMG)患者さん260人が参加しました。同試験において、26週目の Myasthenia Gravis Activities of Daily Living(MG-ADL)総スコアは、プラセボと比較して、統計的に有意かつ臨床的に意義のあるベースラインからの改善が示されました。
ゲフルリマブの安全性プロファイルは良好で、これまでの全身型重症筋無力症(gMG)治療における既存の補体C5阻害剤のデータと一致しており、新たな安全性の兆候は確認されませんでした。
バージニア・コモンウェイズ大学の神経学准教授、神経筋部門長、MGFA医学・科学諮問委員会副議長であり、同試験の治験責任医師を務めるケリー・グワスミー医学博士はプレスリリースにて、「gMGに伴う急激に変動する症状および予測不可能な障害は、患者さんの生活のほぼあらゆる側面に影響を及ぼすことから、早期の介入と持続的な疾患管理が重要な治療目標となります。本試験で結果が示された週1回自己投与する補体 C5 阻害剤が将来、治療選択肢に加わることは、症状を管理する上での利便性と自立性を患者さんに提供できる可能性があります」と述べています。
また、アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズの最高経営責任者であるマーク・デュノワイエ氏は、「アレクシオンのgMGにおける先駆的なリーダーシップに加えて、ゲフルリマブの第III相試験PREVAIL試験の肯定的な結果が発表されたことで、gMGの早期かつ持続的な疾患管理の可能性が示されました。20カ国の患者さんのデータを反映したこれらの結果は、既存の補体C5阻害剤の安全性プロファイルと有効性を裏付けるものであり、自己投与という利便性を備えた新たな治療選択肢としてのゲフルリマブの可能性を示すものです」と述べています。