無又は低ガンマグロブリン血症に対する皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤、国内製造販売承認を申請
武田薬品工業株式会社は2月14日、皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤(一般名:pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、開発コード:TAK-771)について、「無又は低ガンマグロブリン血症」を予定する効能又は効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったと発表しました。
無又は低ガンマグロブリン血症は、さまざまな要因により、体内で免疫グロブリンが不足する疾患です。体内で免疫グロブリンが全く作られない場合を無ガンマグロブリン血症と呼び、免疫グロブリンが少ししか作られない場合を低ガンマグロブリン血症と呼びます。免疫グロブリンが不足することにより、重篤な感染症の再発リスクの増加につながります。無又は低ガンマグロブリン血症は、原発性免疫不全症(PID)や続発性免疫不全症(SID)により引き起こされます。
同剤は、皮下注用人免疫グロブリン10%製剤(以下、SCIG10%)および遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20製剤(以下、rHuPH20)から構成される皮下注用の組み合わせ製剤で、2バイアルが同梱されています。まず最初にrHuPH20を投与し皮下組織の透過性を一時的に高めます。その後同じ部位にSCIG10%を投与することで、SCIG10%の拡散と吸収が促進され、大量投与を可能にします。投与頻度は3週または4週間隔と従来の皮下注用製品に比べて少ないため、患者さんの負担軽減が期待できるといいます。
今回の製造販売承認申請は、原発性免疫不全症(PID)の日本人患者さんを対象とした臨床第3相TAK-771-3004試験(NCT05150340)ならびに原発性免疫不全症(PID)の患者さんを対象とした3つの海外臨床第2/3相試験160603試験(NCT00814320)、160902試験(NCT01175213)および161503試験(NCT03277313)に基づいたものです。
これらの試験において、無又は低ガンマグロブリン血症の治療薬としての皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤の有効性と安全性が評価されました。
武田薬品工業株式会社のPDTビジネスユニット R&D Japan リージョナルヘッドである廣田直美氏は「現在日本で承認されている無又は低ガンマグロブリン血症患者さんのための皮下投与製剤は週1回または2週間に1回の投与が必要で、静脈投与製剤と比較して頻回の投与が必要です。SCIG10%とrHuPH20の組み合わせ製剤が承認されれば、投与頻度が3週または4週間隔となり、患者さんの負担軽減が期待できます。40カ国以上で承認されている本剤を新しい治療選択肢として、少しでも早くお届けできる日を心待ちにしています」と述べています。