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慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療効果や予後を予測する新たな指標として「肺拡散能」の重要性を解明

東京大学は1月8日、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)において、呼吸機能の指標である肺拡散能(DLco)が治療後の改善度や予後を予測する重要な指標であることを明らかにしました。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88、CTEPH)は、肺の血管に血栓が慢性的に残ることで肺高血圧を引き起こす疾患です。外科的な手術やカテーテル治療により症状の改善が期待できる一方で、治療後の回復具合には個人差があり、その原因は完全には解明されていませんでした。

今回、研究グループは、肺の微小血管障害を反映するとされる肺拡散能に着目し、国内35施設が参加する大規模なレジストリを用いて1,270例のデータを解析。

その結果、肺拡散能が低い患者さんでは、手術やカテーテル治療を行った後の肺動脈圧や肺血管抵抗の改善が小さく、心機能の回復も限定的であることが示されました。さらに、肺拡散能が一定の基準値を下回る患者は、死亡や病状悪化といった臨床イベントが発生する頻度が有意に高いことも明らかとなりました。

画像はリリースより

今回の研究により、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の病態には太い血管の閉塞のみならず、治療では改善しにくい微小な血管の病変が関与している可能性が示唆されました。日常診療で測定可能な肺拡散能を用いることで、患者さんごとの病態に応じた最適な治療戦略の立案や、治療後のフォローアップの強化に役立つことが期待されています。今後は、微小血管障害そのものを標的とした新たな治療法の開発や、研究のさらなる発展につながることが期待されています。

なお、同研究の成果は、国際学術誌「Thorax」に1月7日付で掲載されました。

出典
東京大学 プレスリリース

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