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フェニルケトン尿症治療薬PALYNZIQ、思春期の患者を対象とした第3相試験で血中Phe濃度が49.7%低下

米バイオマリン社は9月6日、フェニルケトン尿症(PKU)の思春期の治療を対象とするPALYNZIQ(一般名:ペグバリアーゼ)のピボタル第3相試験における新たな有効性および安全性データについて発表しました。

フェニルケトン尿症(指定難病240、PKU)は、必須アミノ酸であるフェニルアラニン(Phe)を代謝する酵素が欠損する遺伝性疾患です。未治療の場合、Pheが血中に高濃度に蓄積し、重度の知的障害や痙攣発作などの合併症が生じる可能性があります。フェニルケトン尿症(PKU)は食事療法によって管理できますが、生涯にわたるこの療法は困難を伴うことが多く、思春期および成人期にPheの管理が不十分な場合、重大な神経認知障害が生じる可能性があります。

PALYNZIQは、フェニルケトン尿症(PKU)において欠損した酵素の代わりに、PEG化された酵素がPheを分解する働きを持つ酵素代替療法であり、米国および日本では成人を対象にすでに承認されています。

今回発表された第3相PEGASUS試験は、年齢12歳から17歳の患者55例を対象に、PALYNZIQの安全性と有効性を食事療法のみと比較して評価するものです。72週間の主要投与フェーズ後、PALYNZIQを投与された患者の平均血中Phe濃度は、ベースラインから統計学的に有意な49.7%の低下を示しました。一方、食事療法のみの患者群の平均変化量はマイナス0.3%でした。

注目すべき点として、PALYNZIQ投与群の患者さんのほぼ半数にあたる45.2%(31例中14例)が、血中Phe濃度をベースラインから50%以上低下させました。さらに、16例(51.6%)が血中Phe濃度600µmol/L以下を達成し、12例(38.7%)が血中Phe濃度360µmol/L以下という目標値を達成しました。同剤の投与により、患者さんは通常の食事から摂取するタンパク質を平均で107%増加させ、医療用食品から摂取するタンパク質を平均で29%減少させることができました。

思春期における安全性プロファイルは、同剤の成人患者さんでの既知のプロファイルと一致しており、試験で発現した有害事象の大部分は管理可能でした。試験中止に至った重篤な有害事象(アナフィラキシー)は5.6%でした。

バイオマリン社エグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフ リサーチ&ディベロップメント オフィサーのGreg Friberg氏はプレスリリースにて、「特に、成人に移行する重要な時期にある思春期がこの疾患負荷を軽減するために、PEGASUS試験のデータは、PALYNZIQがもたらす影響の重要性を明確にします。バイオマリン社は、過去20年にわたってPKU患者さんのために医学を進歩させるべく真摯に取り組んできました。PALYNZIQで確認された相当程度の有効性を若年の患者群にも拡大するために、これらの結果について喜ばしく思っています」と述べています。

なお、今回発表したデータは、2025年9月2日から6日に京都で開催された第15回国際先天代謝異常学会(15th International Congress of Inborn Errors of Metabolism)にて発表されました。

出典
バイオマリン社 プレスリリース

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